運動靴と赤い金魚
■あらすじ■
少年アリは、修理してもらったばかりの妹ザーラの靴を、買い物の途中で失くしてしまう。
親にも言えず、兄の靴一足しかない兄弟は、それを交代で履いて学校に登校することにする。
そんなある日、小学生のマラソン大会が行われることになる。
3等の賞品は運動靴。
アリは妹のために3等になろうとマラソン大会に参加するが・・・。
(1997/イラン) ★★☆
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心温まる映画には違いないのですが、感動的って程ではなかったです。
靴を失くしてしまうアリには悪気は全くなく、不注意と言うより無用心だったために、妹の靴は廃品回収されてしまいます。
そこでアリは妹に、「母親には黙っていて」と頼む。
裕福ではなく、母親も病気がちなために心配をさせまいとする良心と、叱責を恐れる子供心。
分かるけど、妹にしてみたら「あたしの靴は?」ってなるよね。
もちろん映画でもそうなるわけで、兄妹は兄の靴を交代で履いて登校することになるのですが・・・。
力を合わせて困難を乗り切ろうとする兄妹のお話と、
黙っていることで妹に迷惑をかけることになっている兄の罪。
映画の中では前者のお話が展開されるので、そのバランスが私の中では具合よく収まらなくてあんまり好きになれなかったです。
なんで交替で登校できるのか不思議だったんですけど、男の子と女の子は別々に授業を受けるのですね。
女の子の授業が終わったら、次は男の子たちの授業が始まる。
そうして交替に学校へ通う。
お兄ちゃんの運動靴を格好悪く思って、足元が気になってしょうがないザーラちゃんの気持ちはよく分かる。
私も兄のお下がりを着せられたものな~。
でも、なんで路地裏で靴を履き替えなきゃいけなかったのかな?
見られたらまずいから?
兄妹が通う学校が別々だったのかよく分からなかったけど、そこが一番いい履き替えポイントには思えなかったです。
しかし、いつも学校まで全力疾走するから、いつの間にか走るのが速くなった・・・
と言うような描写にも捕らえることが出来て、うまく後半につながっていました。
そのマラソン大会では、いったい何位になるのかハラハラ。
アリ少年を応援したくなります!
出来たらフェアプレーで通してほしかったです。
他の(金持ちそうな)子がアリを妨害すので憤慨してしまいました。
弱肉強食。
弱いものを踏みつけてでものし上がって行く上流志向。
お父さんの街での出稼ぎのエピソードでも、下層階級に属しているというだけで自分を卑下してしまうところが描かれていたし、何気に社会的メッセージもこもっているのかもしれません。
自分の力だけでは状況を打開することが出来ない、非力な存在。
だけど頑張った分だけ強くなれる。
そこで終わるのか!と言う潔いラストも印象的でしたが、その後にやってくるだろう幸せが映画を救う。
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