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2006年10月19日 (木)

家の鍵

The_keys_to_the_house 寄り添う心。

■あらすじ■

若き日に、出産で恋人を失ったショックから、障害を持って生まれてきた我が子を手放してしまったジャンニ(キム・ロッシ・スチュアート)は、恋人の家族によって育てられていた息子のパオロ(アンドレア・ロッシ)をミュンヘンからベルリンのリハビリ施設へ連れて行くため、15年ぶりに再会する。

戸惑いつつもパオロの面倒を見るジャンニは、到着したリハビリ施設でより重い障害を持つ少女の母親ニコール(シャーロット・ランプリング)と知り合う。

彼女との交流が、ジャンニの心に少しずつ変化をもたらし、パオロを連れてノルウェイへの旅に立つが・・・。

(2004/イタリア) ★★★★

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駅のカフェで交わされる訳ありげな会話。
どうやら若い男の方は「誰か」の父親らしい。 
シーンが変わり、「誰か」の寝顔を見つめ頬を緩ませる若い男。

「誰か」の姿は、まだスクリーンに現れないけれど、若い男はわが子を愛しく思う気持ちがあるようでホッと胸をなでおろす。

父親がわが子にどんな愛情を抱くのか、よく分からない。
そんなことを言うと母親の気持ちも分かってないけど、よく自分のお腹を痛めて産んだ子は、どんな子でも可愛いとかっていうじゃない。

主人公のジャンニは15年ぶりに息子パオロと再会する。
一度失っている父性を簡単に取り戻せるのだろうか?

障害を持つ息子と初めて向かい合うことになるジャンニ。
ジャンニと共に観客も初めてパオロを目の当たりにする。
賢そうな瞳をした少年。

いきなり父親になれるわけではないけど、パオロと友達のように話し、対等に向き合い、守ろうとするジャンニの姿勢には好感が持てました。
だから、ニコールから「周りに迷惑をかけることを気にして、恥じている」とバッサリ切られたときはグサッときた。
そこまで深く映画を見ていなかったし。

そして、普段は穏やかでにこやかなニコールが見せる心内にもドキリとさせられる。

障害を持つわが子を介護し続け疲弊してゆく心と身体。
けれど自分が根を上げてしまっては、残されるのはわが子だけ。
自分から降りることが許されない現実。

「そばにいたいなら、苦しむ覚悟が必要」
パオロに手を焼くジャンニに、ニコールはそう諭す。

けど、ジャンニがパオロを愛おしく想う気持ちが、全編通してスクリーンから伝わってきたから悲惨な印象がまるでない。
パオロも、明るくてひょうきんなところが魅力的。
時々、癇癪を起こすけど(笑)。

割りと早々に父性に目覚めていくジャンニをまぶしく見ていたんだけど、
後に8ヶ月の息子がいることが判るので、わが子に対する愛情の素地って出来ていたのかもしれない。

それでも、一緒に暮らすことを奥さんに会わずに決めちゃったりして、独断で大丈夫?と、心配になったりもする。

近づいたり離れたり、小さな衝突を繰り返して、2人の歴史を刻んでゆく。

けれど不安がないわけじゃない。
ラストシーン、思わず感情的になってしまったジャンニは自己嫌悪に陥る。
そこに、そっと寄り添うパオロ。

これから先の困難さを思うと心が重くなるけど、
いつだって扉は開かれている。

随所に印象的なセリフもちりばめられていて、良い作品なのは間違いないんだけど、いかんせん私に母性愛が足りないのか、深いところまで共感することが出来なかったです。

「親」って、未知の世界。

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