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2006年11月29日 (水)

麦の穂を揺らす風

Wind_that_shakes_the_barley 2006年 カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。

■あらすじ■

1920年、アイルランド南部の町・コーク。
長きに渡るイギリス支配の下、アイルランドの人々の間に独立を求める機運が高まっていた。

しかし、医者を志す青年デミアン(キリアン・マーフィー)は、ロンドンでの研修がきまりアイルランドを離れることに。

そんな時、仲間がイギリスから送り込まれていた武装警察ブラック・アンド・タンズの暴行を受け、命を落とす。
その後も駅でイギリス軍の暴力を目撃し、ついに兄のテディ(ポードリック・ディレーニー)と共にアイルランド独立を目指す戦いに身を投じていく。

そんな彼らのゲリラ戦に苦しめられたイギリスは停戦を申し入れ、戦いは終結。
イギリスとアイルランドの間で講和条約が締結される。

しかし、完全な独立からは程遠い内容に、条約への評価を巡ってアイルランド人同士の間に賛成派と反対派の対立が生まれ、ついには内戦へと発展してしまう・・・。

(2006/アイルランド・イギリス・ドイツ・イタリア・スペイン) ★★★★

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アイルランド独立へ向けてのゲリラ戦。
そして国を2分しての内戦。
それから、まだ100年も経ってないのだということに、改めて驚かされます。

世界史はちゃんと履修しました(!)が、近代については第一次、第二次世界大戦に触れたくらい?
アイルランド問題については、実のところよく分かっていませんでした。

ようやく、その歴史に触れたのは「マイケル・コリンズ」を観てからです。
この映画は、その歴史を知らないが故に衝撃も大きかったのですが、「マイケル・コリンズ」を観ていたことが、「麦の穂を揺らす風」を鑑賞する上でも大きな助けになりました。

同時代を描いていますが、「マイケル・コリンズ」は歴史を動かした指導者を中心にした、スケールの大きな映画。
「麦の穂を揺らす風」は、歴史に名を残すこともない市井の人から見た戦いを描いてます。

それに「マイケル・コリンズ」では条約締結後、内部分裂して内戦に至る経緯が、分かるような分からないような・・・と言う感じだったのですが、そのあたりは「麦の穂を揺らす風」ではかなり丁寧に議論していたので理解しやすかったです。

どちらの言い分にも一理ある。

条約賛成派は、イギリス軍が撤退したことを評価し、一歩前進したことを死守しようとする。
反対して混乱を招き、またイギリス軍を呼び戻すようなことは何としても避けたい。

けれど、反対派は“アイルランド自由国”として、依然イギリス連邦の自治領に収まることに納得がいかない。
完全独立を目指し、戦いを続けようとする。

志を同じくして戦っていた仲間との衝突。
今度はアイルランド人同士で戦いあう内戦へ向かっていく。

兄と弟、親友、弟分、同志。
一緒に戦ってきた仲間は、身近にいた存在。

絆が強い分、突き放すことは容易ではない。

けれど、自分の信念を貫くために、非情な決断を下す。
それが正義なのかは分からないけど、そこで信念を曲げたら、今までしてきたことを否定することになってしまう。

だから、お互いに譲れない。
それほどに手を血に染めてきたのだ。

感動作?とは違う気がするのですが、あまりに重い歴史に、
今なお、アイルランドが深いトラウマを抱えているのが、うかがえます。

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2006年11月27日 (月)

ゲス・フー/招かれざる恋人

Guess_who 1967年の「招かれざる客」を白人と黒人の立場を入れ替えてリメイク。
オリジナルはシリアスみたいだけど、これはコメディでした!

■あらすじ■

NYで暮らす白人青年サイモン(アシュトン・カッチャー)の恋人は、アフリカ系アメリカ人のテレサ(ゾーイ・サルダナ)。

一方、郊外で暮らすテレサの父親パーシー(バーニー・マック)はひそかに調べた結果、娘の恋人が一流企業で働く好青年だと分かり一安心。
結婚25周年を祝う銀婚式に、娘の恋人が来ることを承諾する。

しかし、サイモンがデンゼル・ワシントンやタイガー・ウッズのように逞しい黒人だと思っていたパーシーは、やって来たサイモンが白人だったことにショックを受ける。

なんとかパーシーに気に入られようとするサイモンだが、ことごとく裏目に出てしまい・・・。

(2005/アメリカ) ★★★

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まだまだ人種差別は根強いとは言え、リベラルにもなってきた中で、黒人家庭に白人青年が乗り込む!って言うのが新鮮でした。

最近、映画の中での黒人やヒスパニック系の描かれ方が、見直されつつあるように感じます。
けれど、まだまだ映画の中には不可解な法則(?)や縛りがあるみたいですね~。

白人の相手役には、白人。
黒人の相手役には、白人以外。
この法則は結構、きっちりしてるみたい。

どこが圧力をかけているのか知らないけど(見当はつく)、そろそろ垣根を飛び越えても良さそうなもの。
そして、次にアジア人の描き方も見直して欲しいです(笑)。

さて、映画の方は日本で言うと・・・
「お嬢さんを下さい!!」
「娘はやれんっ!!」
ってな感じの典型的なホーム・コメディ(こんなセリフは出てきませんが・笑)。 

オヤジと娘の恋人の意地の張り合い。
しかも、肌の色を除いたら、小さなことをつつき合っている。

反目しあっている2人なのに、どこか微笑ましくも見えてしまうのです。
特にカー・レースのシーンは可愛かった~(笑)。

想定通りに行きつくラストも嫌みがなくて○(マル)。

パーシー役のバーニー・マックのギョロ目は威圧感がスゴイ。
あんな目で見られたらタジタジになってしまいそうです。

サイモンとテレサが前向きで、口汚く罵りあったりしないのも、2人の愛を裏付けているようで良かったです!

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2006年11月26日 (日)

アルフィー

Alfie 出稼ぎジゴロ。

■あらすじ■

アルフィー(ジュード・ロウ)は極上の女性との出会いを求めて、イギリスからニューヨークに来たプレイボーイ。

NYのマンハッタンでリムジンの運転手をしながら、有閑マダムのドリー(ジェーン・クラコフスキー)、シングル・マザーのジュリー(マリサ・トメイ)らを相手に、自由で気ままな恋愛生活をエンジョイしている。

しかし再び結婚し、家庭を築きたいジュリーは、アルフィーに別れを切り出す。
愕然としたアルフィーは、初めて能動的に愛を探し始めるが、ひょんなことから親友のマーロン(オマー・エップス)の恋人ロネット(ニア・ロング)と一夜を共にしてしまう。

自己嫌悪に駆られ 少しばかり反省したのも束の間、やがて超リッチな年上のビジネス・ウーマンのリズ(スーザン・サランドン)からお誘いが掛かったうえ、とあるパーティでブロンド美女のニッキー(シエナ・ミラー)と出会い・・・。

(2004/アメリカ) ★★☆

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マイケル・ケイン主演で大ヒットした1966年版「アルフィー」のリメイク。

舞台をニューヨークに移して当代きっての色男ジュード・ロウが主演!
似合いすぎて“地”で演じているみたいに見えます(笑)。

女性を手玉にとっては、面倒くさくなったらすぐにサヨナラ。

アルフィーは女性の敵!とは言わないまでも、見ていてもっと腹立たしくなる映画かと思ってました。
意外なことに全然、腹が立ちません(笑)。

ジュードの魅力で許してしまう・・・と言うより、
アルフィーの行いが全てそのままアルフィーに返ってくるのです。

男女の話だから、痛快ではなく痛烈!
けれど、ノリが軽いのでドロドロしません。 

映画は、イ・ビョンホンも参考にしそうなジュードのキラー・スマイルが炸裂でした。
ファッションもスタイリッシュで、かなりオシャレ!

久々に格好良いジュード・ロウを見た気になったなぁ~。
以前、ジュードを格好良いと思ったのはいつのことだったか・・・。

アルフィーは今回、イギリスから来た設定なので、ニューヨークでイギリス英語を話しているのも、気取った感じが出ていて良かったです。

そして、ゴシップでしか見たことのない、噂のシエナ・ミラーを初めて見た!(笑)
あれー? そんなにオーラを感じないんですけど、おすぎさんっ!
これから磨かれるところなのかしらん?

いや、しかし“ゴージャス”には程遠いだろ!!
映画の中ではアルフィーのミューズ、ゴージャスな女の子の役なのです。

ゴージャスの定義の中に“品格”を含めなければ、3歩下がってゴージャスと言ってもいいかも・・・って感じの女の子。
ゴージャスよりも“ビッチ”の方が似合う女の子。

彼女も“地”で演じてる?と、思ってしまうほどに、そのまんまパーティー・ガールでした。

エンドロールが始まると、「あれ?これは何の映画だったっけ?」と思ったりして、イマイチこの映画が言わんとしている事が伝わってこなかったです。
お手軽な恋愛を楽しむ男の末路を描いた映画?

お得意の一言メモで〆てくれたら良かったのに!

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2006年11月25日 (土)

アマロ神父の罪

Crime_of_padre_amaro 教会スキャンダル。

■あらすじ■

メキシコ・アルダマ地方。
ここに将来を嘱望された若きエリート神父アマロ(ガエル・ガルシア・ベルナル)が赴任してくる。
司教から有望株として大きな期待を寄せられている彼は、いずれローマへ行くための見習いにと、教会の司祭ベニト神父(サンチョ・グラシア)のもとに送られてきたのだった。

しかし、アマロはベニト神父の秘密を知りショックを受ける。
ところが、そんな彼も美しく信仰心に篤い16歳の少女アメリア(アナ・クラウディア・タランコン)と親しくなるうち、自らの心の中に許されぬ感情が芽生えていることに気づく・・・。

(2002/メキシコ) ★★★

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麻薬密売組織から金を受け取り、資金洗浄に手を貸す神父。
汚れたお金であっても、人々の役に立つことには違いない。

一方で、麻薬密売組織から貧しい農民を守るため、ゲリラ組織を支援する神父もいる。
信条の違い。
同じ神に仕えながら、何が彼らを隔てているのか。

教会の腐敗を提示してはいるものの、思っていたより踏み込んで描かれてなかったです。

思い描いていた理想と現実のギャップを知ったアマロ神父が、どう立ち回るのかにも注目していたのですが、長いものに巻かれるばかり・・・。
たしかに、そのほうが楽だけど。。。

そして、アマロ神父の関心事は教会のゴタゴタから、アメリアに移ってしまう。

相手役のアメリアが16歳のティーンエイジャーに見えないので、あまりスキャンダラスな感じがしないのは残念です。
それに、もっと露骨にいやらしい手段で口説き落とすのかと思ってました(笑)。
アメリアの信仰心に漬け込むのかと・・・。

アメリアのボーイフレンドだった新聞記者クンも、もう少し喰らいついて腐敗を暴いて欲しかった。
前半はアマロ神父と対立する存在として、いいポジションにいたのに、後半はサッパリ。
しかも、あんなラストだもの。
上手いように使われてしまっただけなんて、悔しいじゃない。

そして、優しい表面とは裏腹に、野心をたぎらせたアマロ神父の本性が、次第に見え隠れ。
野心家のアマロ。 夢見るアメリア。
2人の隔たりが大きくなるにつれて観ている方も戸惑ってしまう。

アマロ神父ってこんな奴だったの?
しかし、アマロ神父の苦悩が、自分の保身にばかりに向いていたのは、ちょっとガッカリです。

堕ちるところまで堕ちてしまったアマロ神父に、もはや同情も共感も覚えないけど、そこまで固執させる教会の富と権力ってどんなものなのでしょう?
神父ってそんなにオイシイ仕事なのかな~。

悲しいかな私には信仰心がないので「衝撃の問題作!」と言うほどの衝撃や、センセーショナルな印象は受けなかったです。

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2006年11月24日 (金)

ダウン・イン・ザ・バレー

Down_in_the_valley 都会のカウボーイ。

■あらすじ■

ロサンゼルス郊外の住宅地、サンフェルナンド・バレー。
17歳の少女トーブ(エヴァン・レイチェル・ウッド)は、厳格な刑務官の父ウェイド(デヴィッド・モース)と13歳の弟ロニー(ロリー・カルキン)との3人暮らし。

何もない退屈な日々にうんざりしていた彼女はある日、ガソリンスタンドでカウボーイ気取りの風変わりな店員ハーレン(エドワード・ノートン)と出会い、彼を海へ誘う。
そして瞬く間にハーレンのミステリアスな魅力に心奪われるトーブ。
一方のハーレンも、清冽で純粋な彼女に惹かれていく。

しかし2人の関係が深まる一方で、ハーレンの時に常識を踏み外す行動が、思いもしない事件を引き起こしてしまう・・・。

(2005/アメリカ) ★★★

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17歳。 
父親を煙たく思うし、親離れもしたい。
毎日が代わり映えなく退屈で、何かが始まるのを待っている。

そこに現れた風変わりな男。
少女は男に夢中になる。。。

え、ちょっと待った!
ハーレンがトーブに夢中になるのは、まぁ分かる。
あんな可愛い子にアプローチされたら参っちゃうよね。

でも、トーブがハーレンに夢中になるのは説得力に乏しいです。
申し訳ないが、ハーレン役のエドワード・ノートンにそこまでの魅力を感じなかったのです。
そもそもハーレンと言う役がどこか胡散臭い感じがする。

ハーレンは、都会に来たカウボーイではなく、都会にいるカウボーイ気取りの男。
周囲と馴染めず、上手く立ち回ることも出来ず、どこにいても浮いてしまう。
異質の存在であることを自らアピールするかのように、カウボーイ装いを身にまとっている。

最初は、トーブの少女から大人への脱皮を描いた映画なのかと思いました。
次第にハーレンに映画の重点が置かれるにつれ、主人公はどこにも居場所のないハーレンだったのだと分かる。

孤独なハーレンが暴走していく様は、なんとも姑息で卑怯。
幻滅さえも覚えます。
だから、知らない男に手を出しちゃいけないんだよ、お嬢さん。

しかし、気付くには遅すぎたのだ。
事件は突然起こり、歯車が狂い始める。

ハーレンが住宅街をパカパカと馬に乗って逃亡するのは目立ちすぎて、笑うに笑えない。
本気でカウボーイを気取っているのも、(失礼だけど)ちょっとバカバカしいです。

それなのに最後まで緊張感が続いたのは、追ってくる父親の剣幕がすごいから。

もしかして・・・
不吉な予感を抱いてしまったのです。

ハーレンがロニーに銃の使い方を教えるシーンがあったので、ロニーが銃を持つ展開になるのかもしれないと・・・。
そして標的は・・・。

しかしそれは杞憂でしたね(笑)。

最後はトーブの存在よりもロニーが前面に出てきたので、ナイーブな少年が殻を破るのかとも思いましたが、一番強く印象に残ったのは父親の絶対的な愛情でした。

それに、「よそ者に近づくな!」という父の教えは正しかった(笑)。
たまには父親の言うことも聞くものですね。

そういえば、この年齢になるとカルキン兄弟は次から次とスクリーンに現れて消費されていきますね。
重宝されてそうではありますが(笑)。

この映画に出ているローリーが“カルキン7兄姉弟妹”の末っ子です。

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2006年11月23日 (木)

プラダを着た悪魔

Devil_wears_prada 頑張る女の子を応援します!

■あらすじ■

大学を卒業し、ジャーナリストを目指してニューヨークへとやって来たアンディ(アン・ハサウェイ)が就いた職業は、一流ファッション誌“RUNWAY”の編集長ミランダ・プリーストリー(メリル・ストリープ )のアシスタント。

オシャレにとことん疎い彼女は、それが次へのステップになればという程度に考え、ミランダが何者かもまるで分かっていなかった。
彼女こそは、その絶大な影響力に誰もが恐れおののくファッション界のカリスマだったのだ。

朝も夜もなく四六時中浴びせられるミランダの理不尽な命令に、いつしかアンディの私生活はめちゃくちゃに。
恋人ネイト(エイドリアン・グレニアー)ともすれ違いが続いてしまう。
こうして、早くもくじけそうになるアンディだったが・・・。

(2006/アメリカ) ★★★★☆

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ファッション業界を舞台にしたサクセス・ストーリー!
アンディのファッション七変化も楽しいし、ストーリーもご機嫌なくらいにテンポ良く進む。

それだけの映画なのに、観ているうちに元気を貰えるのはどうしたことか。
やっぱり、恋愛映画じゃなくて、成功物語だからなのかな?

ファッション業界の内幕物だと思って鑑賞すると、物足りないと思います。
仕事の大変さと華やかさは伝わってくるけど、そこまで業界に肉薄してない。
ファッション業界というのは、単なる舞台にしか過ぎないんだよね。

けれど、1と言われたら、先を読んで2と3までやっておかなくては、人から認められないのだという仕事の厳しさも描かれてました。
認められることで、初めて“信頼”されるのだ。

でも、持ち前の器量さで、なんでもこなしてしまうアンディはスゴイねぇ。
そんな優秀なアンディを苦しめるミランダはもっとスゴイけど!

この手の映画には珍しく(?)、ライバルの足を引っ張ろうとするイジワルな同僚がいないのも良かったです!
ミランダほどの女傑を相手にしていては、ライバルを蹴落とす暇もなく、協力しないと乗り切っていけないのでしょうね~。
女性が多い職場だし、ホントはもっと怖い気がする~(笑)。

メリル・ストリープも余裕の演技でタイトル・ロールを快演してたし、
アン・ハサウェイも可愛い!

アンディをサポートとしてくれるナイジェル(スタンリー・トゥッチ)が、もっと暗躍するかと思いきや、意外と活躍しなかったのは残念でしたが、鑑賞後の足取り軽く、劇場を後にしました♪

しかし、パリでの“ワン・ナイト・ラブ”は中途半端なエピソード・・・。
思いきり雰囲気に流されてて、嫌だ!

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2006年11月22日 (水)

SAW〈ソウ〉 3

Saw_3 ジグソウの後継者。。。

■あらすじ■

女刑事ケリー(ディナ・メイヤー)は、小学校でおこった殺人現場に呼び出される。
鎖に繋がれた死体は爆弾で飛び散っていた。
死体が行方不明となっていたエリック刑事(ドニー・ウォールバーグ)ではなかったことに、ケリーは胸をなでおろす。

でも、ジグソウ(トビン・ベル)はもう動けないはずなのに、これらの仕掛けはいったい誰がやったのか?
しかも、今までのジグソウのパターンとは違うようだ。
その日の夜、ケリーは何者かに拉致され、気が付くと、どこかの地下室に監禁されていた・・・。

新たなゲームが、スタートしたのだろうか?

(2006/アメリカ) ★★★★

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痛い!痛い!痛い!
前作、前々作に比べると、拷問シーンはかなりパワーアップしてました。
初っ端から、痛い。

最後のジグソウのお気に入り拷問マシーン(?)も相当なものだったけど、最初の肉を引きちぎるシーンから痛くて感覚が麻痺しそうでした。

しかし、内容的には衝撃が少なかったです。
これはしょうがないけど、やっぱり残念。

死期間近のジグソウを延命させるべく拉致された女医リン(バハー・スーメク)。
ゲームを仕掛けられたジェフ(アンガス・マクファーデン)。
そして、死に際のジグソウを前に動揺するアマンダ(ショウニー・スミス)。

3人の話がそれぞれに展開していくけど、個人的にはアマンダのストーリーがイマイチ。

ジグソウの仕事を手伝っていたというネタバレ的なものは、まぁ良いとして、度胸が足りないのが微妙に嫌。
嫌々手伝っていたわけじゃなくとも、不安、恐れ、羨望。 
折角、ジグソウの弟子になれたのに、心中が複雑すぎです。

その後、暴走気味に陥ってしまうのも良く判らないし、前作で堂々とジグソウの駒を演じていたアマンダと比べると失望しちゃいます。
だからこそ、ジグソウも・・・なのですが。

最愛の息子を交通事故で失ったジェフに科される試練も、そんなに興味を持てなかったです。
映画の中でジェフをハラハラ見守る存在がいなかったからかもしれません。
でも、腐った豚のシーンは好きかも(笑)。

たぶん映画の中で一番、心拍数があがったのはジグソウの脳みそを切り開くシーンだと思う。
顔をしかめながら鑑賞してたんじゃないかな。

「ハンニバル」の脳みそシーンも強烈だったし、「インディ・ジョーンズ 魔宮の伝説」でも猿の脳みそが忘れられない。
“脳みそ”って多大なインパクトを映画に与えるんですね!

脳圧を下げる手術も無事に成功して、ジグソウの寿命がつながったのかと思いきや、ジグソウは自身の命を懸けてゲームに臨んでいたことが判明する。

でも、その前から展開の予想がついてしまいます。

息子を失い悲しみにくれるジェフの妻の不在。
思い悩んでいるリンに存在する息子と娘。
暴走するアマンダ。

線につながると話が見えてしまうのが残念。
ストーリーが進むにつれて面白みが無くなっていくし、今回は緊張感が足りなかったです。

けれど、この映画は5作目まで制作されるとか。。。
たしかに後を引く終わり方。
まだまだ謎を残してますよね。

まずは○を探しに行かなくちゃいけないし、エリック刑事の生死も判明してない。
そして、誰がジグソウの後を引き継ぐのか?

さて、どうなるの?

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2006年11月21日 (火)

終わりで始まりの4日間

Garden_state あれ?「エリザベスタウン」?

■あらすじ■

感情の起伏が極端に乏しく、精神安定剤を常用している売れない役者アンドリュー(ザック・ブラフ)。
ある日彼は母の死の報せを受け、9年ぶりに故郷のニュージャージーへと帰郷する。

しかし、父(イアン・ホルム)とは折り合いが悪いままで、旧友たちとの再会にも、彼らとの距離を感じてしまうばかり。
そんな時、アンドリューはひょんなことから天真爛漫でエキセントリックな少女サム(ナタリー・ポートマン)と出会う。

サムと一緒の時間を過ごすことで、アンドリューは忘れかけていた感情を少しずつ取り戻していく・・・。

(2004/アメリカ) ★☆

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プロットが「エリザベスタウン」によく似てるんだけど、「エリザベスタウン」はこの映画をパクッたんですかね?
違ったら暴言ですね(笑)、すみません。

しっかし、よく似てる。
葬式のため帰郷することになったり、風変わりな女性に出会って人生変わったり・・・。

でも、この映画の良さがいまいち分からなかった。
私、自己啓発映画と相性悪いのかも・・・。

壁紙模様のシャツや主人公に発情する盲導犬。
笑いのツボとタイミングが、ちょっとムヅカシイです。

なかなかナタリーも出てこなくて、いつになったら、ナタリーが出てくるのだ。
いつになったら面白くなるのだ、と我慢、我慢。

ずっと我慢しているうちに、面白くならずに終わってしまいました。
あれ?

一応、ナタリーはこの映画で演技開眼したとか言われてます。
そんな感じはしなかったけど・・・?

監督・脚本・主演はザック・ブラフ。
全く知りませんが、「チキン・リトル」で主人公の声を担当した人らしいです。

で、この人、イケメンと呼ぶ程には格好良くなくて、日本の女子高生からは「キモイ」と言われてしまいそうな微妙なダサさ(笑)。

役が無表情だから余計にイモっぽく見えちゃうのかもしれないけど、
友人役で出演していたピーター・サースガードに、自然と目が向いちゃいました。

主人公とナタリーが心通わせ、お互いに好意を抱くのも、エピソードとしては弱かったし、ラストでナタリーが主人公に 泣いてすがるのがとっても嫌!!
そこまでの運命的な恋に見えないよ。 

母親の事故に主人公が関係していて、そこから父親との関係がこじれてしまったエピソードは興味を引いたけど、息子を薬漬けにしちゃうなんて、父親も相当に変人だよね。

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2006年11月20日 (月)

トゥモロー・ワールド

Children_of_men 世も末・・・

2027年の世界を描いているけど、世紀末を思わせる世界観。

■あらすじ■ 

西暦2027年、人類はすでに18年間も子供が誕生していなかった。
原因は分からず、この地球を引き継ぐものは、いずれ途絶えてしまう。

希望を失った世界では暴力と無秩序が拡まり、英国政府は国境を封鎖し不法入国者の徹底した取締りで、辛うじて治安を維持していた。

そんなある日、エネルギー省の官僚セオ(クライヴ・オーウェン)は、彼の元妻ジュリアン(ジュリアン・ムーア)率いる地下組織“FISH”に拉致される。
ジュリアンの目的は、移民の少女・キー(クレア=ホープ・アシティー)を“ヒューマン・プロジェクト”という組織に引き渡すため、“通行証”を手に入れること。

最初は、協力を拒むセオだったが・・・。

(2006/アメリカ・イギリス) ★★★★

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「天国の口、終わりの楽園。」は苦手だけど、アルフォンソ・キュアロン監督の作品は結構、好き。
ハリー・ポッター・シリーズはキュアロン監督の3作目「ハリー・ポッターとアズカバンの囚人」が一番好きです!
他にもイーサン・ホークとグィネス・パルトロウ共演の「大いなる遺産」なぞも監督しております。。。 

でも、監督には期待していたけど、実は作品には期待してませんでした。
近未来SFサスペンスなんて、そんなに目新しくもないし、好きなジャンルでもないし、とタカをくくっていたのです。
しかし、いい意味で期待を裏切られた!

ハイテク化した先の先の未来じゃなくて、ほんの数年先の未来。
その描き方が超リアル。
ありえそうな未来の姿だったんだよね。

しかも、その姿はぞっとするほど殺伐としてて絶望的。
爆弾テロは日常化し、政府は不法移民の取締りを強化。

そんな世界の中、ストーリーは単純で、セオがキーという名の少女を“ヒューマン・プロジェクト”という組織に引き渡すというだけのこと。

子供が生まれなくなった世界。
大気汚染、温暖化、ウィルスの流行、、、理由はいまだ解明されない中、その解決の鍵を握る少女・キー。
彼女を守ろうとする人たち、利用しようとする人たち。

早々と重要人物だと思わしき人物が死んでしまったり、単純なストーリーの中にも驚きがあって飽きさせない。

何より、この映画の凄いところは映像の見せ方です。

最初の爆破シーンにしても、爆発した土煙の中から負傷した人が出てきて、ほんとに爆破させたように見える!
匿ってもらったジャスパー(マイケル・ケイン)が殺害されるシーンも心が痛みました。

人の命が簡単に失われていく世界。
ためらうことなく、情けをかけることなく、命の軽さがリアルに痛い。

だからこそ、その対称として未来ある子供の存在の尊さがラストに浮かび上がる・・・のだけど、そこは あんまり感動しなかった。
人だかりが出来て、すぐに拘束されちゃいそうだもん(笑)。

海上のラストシーンも物足りなさが残りました。
でも、その物足りなさって、つまんなかった~と言うのではなく、もっと知りたい!もっと観たい!っていう欲求。

結局、“キー”が本当に世界を救えるのかは判らないけど、分からないからこそ“キー”は最後の希望であり、その存在に価値があるんだね。

セオとジュリアンの関係や、セオが協力するまでの経過など、ちょっと駆け足に描いている部分もあるけど、銃撃戦や爆破シーンの臨場感はそれを補って余りあるものがありました。
思わず「本物ですか?」と、自問しちゃうシーンがいっぱい。

出産シーンで、赤ちゃんから湯気が出てるのも驚きました。 生まれたてホヤホヤ~。
どうやって撮影したの?

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2006年11月18日 (土)

間宮兄弟

Mamiya_kyoudai 寄ってく? 間宮兄弟の部屋。

■あらすじ■

間宮兄弟は30代の今も同居を続けている仲の良い兄弟。
兄 明信(佐々木蔵之介)はビール会社の研究員。
弟 徹信(塚地武雅)は小学校の校務員。

一緒にご飯を食べ、野球観戦で熱くなり、ビデオを観ては涙する。
もういい大人の2人だけれど、仲の良さは子供の頃と全く同じ。

ある日、彼らは行きつけのレンタル屋さんの店員 直美ちゃん(沢尻エリカ)と、徹信の務める小学校の葛原依子先生(常盤貴子)を誘ってカレーパーティーを開くことを決意。
頑張って彼女たちに声をかけるのだった。

(2006/日本) ★★★

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「間宮兄弟」が映画化されると聞いた時は、随分と驚き楽しみにしてたけど、監督が森田芳光だと知って ちょっと冷めてしまいました。
森田監督が嫌いってわけではないけど、最近の作品はあんまり好きじゃなかったので心配に・・・。

けれど出来上がった作品は、ほのぼのコメディに仕上がってました!

笑わそうとして間宮兄弟を面白おかしく描いているのではなく、
愛情をもって間宮兄弟を描いて、結果、笑わせているのが良かったです。

でも一人で観ていて、何故か淋しくなってきた(笑)。
友達とか家族とか、わいわいみんなで見たい映画かも。

特に事件らしい事件が起こらないストーリーなんだけど、退屈はしない。
それから食べ物がよく出てくる。
この2点が「かもめ食堂」に似てますね。

最後のほうで「このままずっと一緒に暮らせばいいじゃん」というセリフがあって、そこは“違う”って思いました。
こんなセリフが原作にあったか思い出せないけど、変わらず一緒に暮らしていて欲しい監督の願いが込められているように聞こえます。

「人はずっと同じではいられないものです」
そう言ったのは「かもめ食堂」の小林聡美。

猛スピードで移ろいゆく世の中で、間宮兄弟もスローペースで変わり行くのだと思う。

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2006年11月17日 (金)

クリムト

Klimt クリムトのうずまき。

■あらすじ■

1918年、ウィーンを代表する天才画家グスタフ・クリムト(ジョン・マルコヴィッチ)は、病院で死を迎えようとしていた。
誰も見舞いに訪れず、愛弟子のエゴン・シーレ(ニコライ・キンスキー)だけがクリムトを見守る。
しかし、シーレの存在に気付くことなく、クリムトの意識は混濁し人生の一部分が甦ってくる。

1900年、保守的なウィーンでの酷評とは対照的に、先進的なパリでは絶賛され、クリムトはパリ万博で金賞を受賞する。
受賞会場で出会った美しい女性レア(サフロン・バロウズ)に心奪われたクリムトは、嫉妬する恋人ミディ(ヴェロニカ・フェレ)を置いてレアと再会を果たし、彼女の肖像画を描く約束を取り付ける。

(2006/オーストリア・フランス・ドイツ・イギリス) ★★☆

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芸術家の映画って割りと好きなのですが、この映画は芸術的過ぎました。
クリムトの伝記映画ではなく、死期間近のクリムトの頭の中をのぞいてみた感じです。

あんなことがあった、こんなことがあった、あれはどうなった?
次々と現れては消えてゆく記憶の断片。

そこからストーリーを見つけたり、真実を追い求めたりしない方がいいです。
疲れるだけだから(笑)。

最初はクリムトに興味を持って観ていられたし、中盤も話が飛ぶのが面白くて我慢できた。
けれど、終盤にきていささか単調なのが飽きてきました。
ずっと同じ調子で、混乱と飛躍が続くんだもの。

それに、芸術家の創作エネルギーや情熱と、かけ離れた映画だったのも残念。

今なお、愛されているクリムトの絵画。
そこに描かれているのは艶やかな女性たち。
クリムトとモデルたちの関係・・・。

「芸術新潮」を読んで仕入れた知識以上のことは描かれていなかったけど、ジョン・マルコヴィッチが体現するクリムトをやっぱり、目で追ってしまいます。

そんなクリムトの目を奪うレア。

クリムトがよく使ったモチーフの中に「うずまき」模様があります。
映画はそんなクリムトのうずまきから始まる。
いま思えば、その後のストーリーの予告でした(笑)。

マジシャンの手にかかり、イリュージョンの館に迷いこんでしまったクリムト。
そこを出て、左左左に曲がればまた、ここに戻ってきますからね。

永遠に出口を見つけられないクリムトは、ちょっと可哀そうだけど、
私たちは97分でこの迷宮を出られます。
あぁ、良かった!

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2006年11月16日 (木)

unknown/アンノウン

Unknown 目覚めたら記憶喪失。
そんなのアリ!?

■あらすじ■

閉ざされた廃棄工場の中で意識を取り戻した5人の男たち。
ボンベ内の薬品が漏れ出したことで一時的な記憶障害を招き、彼らは全員記憶を失っていた。

やがて、ボスと思しき相手からの電話と内部の状況から、自分たちは人質と誘拐犯だと判明。
人質は2人、残る3人が誘拐犯だ。
しかし依然として、誰が人質で誰が誘拐犯かはわからないまま、日没までにはボスが帰ってくる。

5人は互いに疑心暗鬼を抱えながら協力して脱出を試みる。
そんな中、徐々に甦る曖昧で断片的な記憶が、彼らの混乱に拍車を掛けていく・・・。

(2006年/アメリカ) ★★★☆

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密室に閉じ込められたシチュエーション・スリラー。
「SAW」っぽいけど、グロくないのでテイストは違います。

過度に期待していなかったので、それなりに楽しませてもらいました。
どんでん返しも期待して見ていいです!
けど、かなりしつこかったです(笑)。
あそこまでしなくても良かった・・・と言うか、“それはないだろう”って感じだもの。
シチュエーション的にも、俳優的にも。

最後につっこみを入れたくなるなんて、もったいない感じだね~。
他にもつっこみたいところはあったけど、最後のシーンに全部さらわれてゆきました(笑)。

ガスを吸って(一時的に)記憶喪失に陥ってしまう設定なんだけど、自分の名前すら覚えてない、記憶がまるでない状態。
この導入には「え~、うっそ~ん!」と、リアリティを感じられなかったです。
だって、「メメント」のガイ・ピアースもビックリのアイデンティティーの危機ってやつですよ!

記憶を失っても、人間には条件反射があるから電話にも出られるし、銃が何であるかも理解している訳だけど、、、自分が何者であるか解からないなんて!
記憶をなくした状態だと、人間の本質だけが残されるのかな?
と、色々思うことはあったけど、ストーリー(85分)はぐんぐん進むので、とりあえず疑念は横においておきました。

メインの閉じ込められた5人の男たちは、こんな顔ぶれ。

ストーリーを引っぱてゆく最初に目覚めるデニム・ジャケットの男(ジム・カヴィーゼル)。
椅子に座らされ縛られている男(ジョー・パントリアーノ)。
縛られているのには訳があるからと、縄を解くジム・カヴィーゼルを静止する男(バリー・ペッパー)。
鼻を折られた男(グレッグ・キニア)。
手錠をかけられ瀕死の男(ジェレミー・シスト)。

この中の誰かの奥さんがブリジット・モイナハン

そしてボスは、いい人役より悪役がハマってしまうピーター・ストーメア! 

個性派ぞろいで、なかなかいいキャスティング♪
あとは、ストーリーが・・・。
徐々に記憶を取り戻して、騙しあいや駆け引きが始まるけど、取り戻した記憶は「真実」だからひねりがないんだよね。
想像ついちゃうのが残念でした。

あと、バリー・ペッパーが「お前だけは信じられる」ってセリフを言いますが、根拠のない自信が気になります。
もう少し伏線張ってもいいんじゃない?

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2006年11月15日 (水)

ランド・オブ・プレンティ

Land_of_plenty テロから2年と1日が過ぎた世界で・・・。

■あらすじ■

アメリカで生まれ、アフリカとイスラエルで育った少女ラナ(ミシェル・ウィリアムズ)。 
母を亡くした後、10年ぶりに故国のアメリカに戻ってきたラナは、母の書き遺した手紙を手渡すべく、長年会っていなかった伯父ポール(ジョン・ディール)を捜す。

やがて彼女は伯父と再会を果たすが、彼は、誇り高き自由の地アメリカを自らの手で守り抜こうと、“ひとり自警団”をもって任じる偏屈な愛国主義者に変わり果てていた。

おりしもポールが、どうも怪しいとにらんで、最近その挙動をひそかに監視していたアラブ人のホームレスが、何者かに殺される事件が発生。
ポールは事件の真相を突き止めるため、そしてラナはその遺体を遺族に届けるため、2人は一緒にアメリカ横断の旅へと出発するが・・・。

(2004/アメリカ・ドイツ) ★★★☆

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巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が描いた感動作・・・
と言う触れ込みでしたが、感動はしなかったけど面白かった。

特に目を引くのはポール伯父さんの数々の行動。
2001年 9月11日の同時多発テロ事件を機に、伯父さんはテロリストからアメリカを守ることを決意。
監視カメラをヴァンに乗せ、怪しい人物がいないか警戒にあたる。

しかし、偏屈な愛国主義者のポール伯父さんは、アラブ人を見ては怪しい奴だと決めつけ、アラブ人がダンボールを抱えていてはテロリストだと決め付ける。
人種差別や人権無視、住居侵入の違法行為も、“アメリカ国民の命を守る”大義に比べたら伯父さんの中では許される行為らしい。

少しばかりでなく、度を超えて行き過ぎてしまっているポール伯父さんの行為をどのように理解しながら見ればいいのか分からなかったけど、
突然、“伯父さんは、病んだアメリカそのものだ”という言葉が浮かんできて、その後はその言葉がピッタリ映画にハマってしまい、面白く見てました。

ポール伯父さんが“病んだアメリカ”ならば、ラナは“アメリカの良心”と言ったところ?
信心深く、心優しいラナ。

2人は互いを理解しあう間もなく、別々の目的を持ってトロナへと向かうことになる。

最初はラナがポール伯父さんをどの程度理解し、協力しようとしているのか、はっきりと分からず気ががりを感じました。
案の定、2人の間の溝は大きいことが分かるんだけど、トロナでのポール伯父さんの行動がまた凄くて・・・(笑)。

あそこまで突っ走る伯父さんの姿が、アメリカがイラク戦争に突き進んだ姿に見えてしまって、終いには笑えなくなってしまいました。。。

アメリカを守ろうとする伯父さんの志は立派だけど、手に抱えることの出来ないものを一人で守ろうとしても無理がある。
これからは手に抱えられる範囲で頑張って欲しいです。 
もしかしたら、それがラナの存在かもしれない。

しかし、父親は当てにならないというだけで、何故ラナは伯父さんに託されることになるのか、いまひとつ分からなかったです。
ラナは未成年者なのかと思えば、20歳だと言うし・・・。

それでも、ラナはポール(アメリカ)に託された。

ヴィム・ヴェンダース監督はアメリカの可能性を信じているのだと思いました。
音楽も良かった♪

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2006年11月14日 (火)

カポーティ

Capote 恐るべき追体験。

■あらすじ■

1959年11月15日。
カンザス州ホルカムでクラッター家の家族4人が、惨殺死体で発見される。

翌日、N.Y.で事件のニュース記事を見た作家トルーマン・カポーティ(フィリップ・シーモア・ホフマン)は、これを次の小説の題材にしようと決心。
幼馴染みで彼の良き理解者の女流作家ネル・ハーパー・リー(キャサリン・キーナー)を伴い、すぐさま現地へ向かう。

小さな田舎町は前例のない残酷な事件に動揺していたが、やがて2人の青年ペリー・スミス(クリフトン・コリンズJr.)とリチャード・“ディック”・ヒコックが容疑者として逮捕される。

ペリーの不思議な魅力に創作意欲を刺激され、拘留中のペリーに接近し面会を重ねる中で、次第に彼の信頼を得ていくカポーティだったが・・・。

(2005/アメリカ) ★★★★

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ノンフィクション・ノベルという新たなジャンルを切り拓いたと言われるトルーマン・カポーティの傑作「冷血」。
その完成までの道のりを描き出した伝記ドラマ。

そして、フィリップ・シーモア・ホフマンが今年のアカデミー賞主演男優賞を受賞した作品。

カポーティも「冷血」も知らなかったけど、かなり興味深い作品でした。
今ではノンフィクション・ノベルの小説はざらにあるけど、そのはしりだったと言うだけではなく、トルーマン・カポーティの人となりが興味をそそる。

一応、ゲイだったのは知ってたんですけど、あの当時にアミングアウトしていたのは知りませんでした。
まだまだ、保守的な時代ですよね。
その中にあって、社交界の真ん中で人々の賞賛を浴び、周りに人が集まってくるのは凄いこと。
巧みな話術で人の関心を惹くのがとても上手い人物だったんですね。

カポーティが持ち得た人脈と話術を活かし、ホルカムでの殺人事件の重要な証言を手に入れてゆく。
そんな中、容疑者の2人が捕まり、カポーティはそのうちの一人ペリー・スミスに興味を持つ。

ペリーがネイティブ・アメリカンの血を引き、差別されてきたこと。
母親が育児に熱心ではなく不遇の子供時代を過ごしてきたこと。

カポーティ自身もゲイであることから差別され、母親に捨てられた経験を持つことからペリーに共感を覚え、彼はとても孤独なのだと庇護者のように振舞う。

しかしその一方で、恰好の小説材料を手に入れ舌なめずりしているようでもある。

ペリーに取り入るため、得意の話術でペリーを懐柔させる。
手なずけるためなら嘘をつくのもて平気だ。
そうして、ついにはペリーの日記までも手に入れる。

ネルからペリーを愛しているのかと問われたカポーティはこう答える。
「たとえて言えば、彼と僕は一緒に育ったが、ある日、彼は家の裏口から出て行き、僕は表玄関から出た」

光と影。
カポーティはペリーの中に、自分の姿を見つけてしまったのかもしれない。

そして、小説を書くことは、ペリーの話を自身の中に取り込み吐き出す作業。
繰り返し書いては推敲を重ねることで、ペリーに侵されていく。

そんな弱ったカポーティにペリーの死刑執行延期と言う拷問が鞭を打つ。
ペリーが死なないと小説は仕上がらない。

ペリーの死を望むのに、失いたくない気持ち。
ジレンマを抱え苦しむカポーティを救うには、もはや刑の執行しかない。

けれど、その体験がカポーティをもっと追い詰めてしまうことになる。
その後、カポーティが壊れゆく様も見たかった気がするけど、想像がつく気もします。

あそこまでカポーティが苦しんだ「冷血」を読んでみたくなりました。

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2006年11月13日 (月)

ウィンター・ソング

Perhaps_love 10年のブランクは長い。
したたかな女性に恋した純情青年の苦悩。

■あらすじ■

昔の上海を再現したスタジオでミュージカル映画の撮影がスタートする。
ヒロインは、ニエ・ウェン監督(ジャッキー・チュン)の寵愛を受けて のし上がって来たスン・ナー(ジョウ・シュン)。
そんなスン・ナーの相手役として香港から呼ばれた人気俳優、リン・ジェントン(金城武)。

かつてスン・ナーとリンは恋人同士だったが、スン・ナーが女優への野心を抱き 突然 姿を消した。
以来10年間、リンは彼女への想いを断ち切れず苦悩してきたのだった。

(2005/香港) ★★☆

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中国語圏で作られたミュージカル作品。
劇中劇として撮影されるミュージカルに合わせて展開されるので、突然歌いだす違和感は少ないものの・・・ハリウッド製に比べると見劣りするのは避けられない。

けど、頑張ってたかな。
ところどころで「ムーラン・ルージュ!」を彷彿とさせました。
あそこまで派手さと勢いはないけれど、メリー・ゴーランドのようなおもちゃ箱の世界。
映像もキレイで、金城くんも格好良くて、ジョウ・シュンも可愛かったのに、なんでこんなに心惹かれない映画なのか不思議です。

誰にも感情移入が出来なかったので
切ないとか、胸がときめくとか、心打たれるとか、感情を一切揺さぶられなかったんだよね。
そんな恋愛映画はちょっと辛いものが・・・。

ずっと公開を楽しみにしてたので、期待が大きすぎたのかなぁ?

劇中劇として撮影されるミュージカル映画のシナリオは、こんな↓内容。
『“小雨(ジョウ・シュン)”は記憶喪失になって、かつての恋人の記憶を失っている。 
 放浪の果てにサーカス団に拾われ、サーカス団の団長(ジャッキー・チュン)から愛されるようになる。
 しかし、そこにかつての恋人“張楊(金城武)”が現れる。
 張楊のことを全く覚えていない小雨だが、あるキッカケで記憶を取り戻す。
 そんな2人の関係を察知した団長は、小雨に詰め寄るが・・・。』

劇中劇の内容が主演俳優2人と監督の関係にそのまま重なるのです。
だから、時々このシーンは劇中劇なのか、そうでないのか混乱するけど、あまり突き詰めて考えて鑑賞しない方が良さそうです。

全ては「天使」のなせるワザなのです。

「人生は映画そのもの。 人はみな、映画の主役・・・(中略)
・・・カットされたシーンを、また必要になった時に戻してあげるために・・・」

意味深なことをつぶやいて登場する“謎の人物(チ・ジニ)”。
いろんなシーンに出没しては、リンとスン・ナー、そしてウェン監督を見守る。
最後まで正体不明だったのですが、なんと天使だったのですね!

この役、必要だったのかな~って感じるくらいに出番は少なかったけど、
要の映写室のシーンで「昔の2人が抱き合っている」シーンを上映してあげたり、
監督とリンに酸拉麺を出してあげたり、一応、彼なりに尽くしてました(笑)。

確かに「天使」の存在は、この映画をファンタジーに包むけど、映画で描かれている恋愛はかなりシビアです(笑)。

昨今、流行の「純愛」ものとは一味違います。
でも、昔の恋人を10年も想い続けるなんて、純愛映画かと思ってしまうよね。

映像で語る・・・と言うか、観て、自分なりの解釈が必要なシーンもあったりして、以下は私なりの解釈です。

※(以下、ネタバレあり)

10年前は恋人同士だったリンとスン・ナー。

この映画の白眉シーンに、娼婦街をリンとスン・ナー(小雨と張楊?)が逃げるミュージカル・シーンがあります。
そこでスン・ナーの正体が「娼婦」だと明かされます。
一番可愛いのは、自分。 
欲のためなら、愛する男を捨てることも、自分の身を落とすことも出来るのだと、
女のしたたかさを男に突きつける。 

奔放なスン・ナーに裏切られ、心を引き裂かれたリン。
愛情と憎しみは表裏一体。
スン・ナーに復讐したい気持ちも確かにあったのでしょう。

しかし10年経ってスン・ナーと再会したのには、他の訳がある。
それは、彼女とのよりを戻したいのではなく、彼女との愛を確認したかったのです。
自分たちは本当に愛し合っていた。
スン・ナーは本当に自分を愛していたと。

このあたりは、恋愛を割り切ることが出来ない情けなさも感じますが、突然、彼女がいなくなってしまったら、そんな気持ちになるのかも?

10年前の上海時代の愛を再確認したリン。
興味深いのは10年前の愛が現在につながらないこと。

リンが愛していたのは“ラオスン”と名乗っていた頃のスン・ナーであって、今のスン・ナーではないのです。

でも、復讐のためスン・ナーをアパートに置いてけぼりにしたリンが、空港から戻って2人抱き合うシーンは、2人の愛が復活したのかと思いました。
リンの中にはスン・ナーを愛しく思う気持ちもあるのだろうけど、所詮スン・ナーは平気で男を捨てることが出来る女でもある。
リンは同じことを繰り返さずに、現実的で堅実な選択をする。

他方、リンとスン・ナーの関係を察知して雲隠れしてしまった監督は、ラストシーンを大幅に書き換えて姿を現す。
そのラストシーンは「小雨にいい思い出として記憶してもらうために、団長は身を引く=死を選ぶ」というもの。。。

そのクランプ・アップのシーンでこの劇中劇の題名が「私を忘れないで」だと明かされるんだけど、タイミングからすると「私を忘れないで」の「私」って“団長”のことかと思ってしまう(笑)。
劇中劇の内容からすると“小雨”か“張楊”が適当な気がするんだけどね。

でも、三者三様に捉えていい題名なのでしょう。
それぞれが「私(私たちの愛)を忘れないで」と言っている映画なのです。

そうして、それが最後の「北京を忘れないで」と言うセリフにつながる。

劇中劇では死んでしまった団長だけど、団長を演じた監督は死なない。
むしろ監督もリンも、この映画を経てスン・ナーのことを吹っ切ることが出来るようになる。

監督とリンがスン・ナーを巡って争ったりしないのも、この映画がリンとスン・ナーの過去を巡るストーリーだからです。

ファム・ファタールや魔性の女と言うには色気がないので、ジョウ・シュンは小悪魔役といったところ?
でも、女優(スン・ナー)時代より、踊り子(ラオスン)時代の方が、小悪魔的だった。

それに大作映画のはずなのに助演俳優が決まっていないのも、変。
監督が「俺がやるっ!」って言い出したときには、インディーズ系なノリに笑いそうになってしまいました。

香港の方が映画製作は発達していそうなのに、わざわざリンが規制の厳しい中国で映画製作を勉強しようとしているのも腑に落ちなかったです。

でも、金城くんはとにかく格好良かったよ。

残されたジョウ・シュンがどうなるのか気になるけど、小悪魔的にたくましく生きてゆくのでしょう。。。

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2006年11月11日 (土)

キャプテン・スーパーマーケット

Army_of_darkness こんなタイトルですが「死霊のはらわた3」です。

■あらすじ■

スーパーの日用品売り場主任アッシュ(ブルース・キャンベル)は、ガールフレンドのリンダ(ブリジット・フォンダ)とドライブに出かけた山奥で死霊に遭遇する。
戦いの末、彼はリンダと自分の右腕を失った挙げ句、中世へとタイムスリップさせられてしまう。

アーサー王の城に捕らえられたアッシュは処刑を宣告されるが、一緒に時を越えたチェーンソーとショットガンのおかげで命拾いし、逆に天からの使者として歓迎されることとなる。
やがて彼は、現代へ戻る方法が呪われた「死者の書」に記されていることを知り、探しに行くのだが・・・。

(1993/アメリカ) ★★★

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サム・ライミ監督のデビュー作は「死霊のはらわた」。
で、シリーズ第3弾がこの作品。

「死霊のはらわた」「死霊のはらわた2」ときて、なんで「キャプテン・スーパーマーケット」!?
普通に「死霊のはらわた3」で、いいじゃん!(笑)

タイトルから内容が想像できなかったけど、「死霊のはらわた3」に当たると知って、相当に怖い映画なのかと思って見てたらオカルト・コメディ(?)でした!
ホラーじゃないなんてビックリです。
「死霊のはらわた」なんてタイトルからは、グロくて怖いイメージしか浮かばないもん!

でも、ちょっと調べたら前2作はやっぱり「ホラー」テイストみたいですね。
この3作目だけ毛色が違うみたい・・・。
だから「キャプテン・スーパーマーケット」なのか?(笑)
サム・ライミはこんなタイトルを承知なのかしらん。

ちなみに原題は「Army Of Darkness」。
確かに、最後は「闇の軍団」が襲ってくるのです。

それで、この映画はいろんなバージョンがあるらしいのですが、私が見たのはライミ監督が監修し、初公開時の未公開場面を加えた事実上の最終版“ディレクターズ・カット版”だそう。

そんなことより「死霊のはらわた」「死霊のはらわた2」を見てないのに、いきなり「3」を見て大丈夫なのか心配でしたが・・・
これが、大丈夫だった!

オープニングでいきなり中世に飛ばされちゃう訳の分からない展開でしたが、バカバカし過ぎてそこで立ち止まって考え込む映画じゃなかった(笑)。
超B級。

ストーリーはあってないようなもの。
かなりどうでもいい話だったけど、要所で「おっ!」と思うシーンがあって笑ってしまったり、感心したりでした。

タイムスリップした主人公アッシュが大きな井戸に落とされてピンチに陥るところで、すかさず渡されるチェーンソーを右腕に装着!
このシーンで、これがコメディなのだとはっきり判りました。

その後に、割れた鏡から小さな分身が飛び出して悪さを働くのも可愛かった。
まさか、飲み込んだ後にあんなことになるとは思わなかったし!

ラストシークエンスの「闇の軍団」が襲い掛かってくるところも、アニメーションと組み合わせてるのかな?
すごく良くできてた!

同じく理由の判らないまま中世にタイムトラベルさせられる「タイムライン」なんて映画があったけど、あれよりこっちが好きです(笑)。

B級映画だけど、B級に甘んじているのではなく、B級のてっぺんを目指している感じがするもんね!

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2006年11月10日 (金)

ブルー・レクイエム

Cash_truck フランス製 復讐サスペンス?

■あらすじ■

フランスのとある現金輸送会社に、アレックス(アルベール・デュポンテル)という男が新たな警備員として就職する。
僅かな給料と引き換えに自らの生命を危険に曝す、この割の合わない商売に彼が就いたのには、実はワケがあった。

かつてアレックスは、幼い息子を車に乗せて帰宅する途中、その前を走る現金輸送車の襲撃事件に巻き込まれてしまい、武装グループの銃撃を浴びて息子は死亡、アレックス自身は辛うじて一命だけは取り留めたのだった。

憎き犯人の手がかりをつかむためにアレックスは、これまでにもたびたび武装グループに襲撃されていた危険ルートでの警備をあえて志願し、復讐の機会を待ち受けるのだが・・・。

(2003/フランス) ★

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ちょっと眠かったこともあって途中少しウトウトしてしまったので、正当な評価じゃないかもしれません。
でも、ハリウッドでのリメイクも決定してるというし、サスペンス・アクションだと言うので、かなり期待して見てたの。

そうしたら全然アクションは展開されないし、淡々としいてるんだもん。
スズメバチ」みたいな作品だと、勝手に思い込んでいました!
30分くらいしたら、ドンパチが始まるのかと・・・。

それが一向に何も始まらないし、何も起こらない。
そもそもの“息子が殺されて”しまうエピソードはいつなのかと待ってました。

事故後の潜入しているところなのか、事故前のシーンなのかも定かじゃなくて、
「んんっ?」ってカンジがするんだよね。

この映画は、内容を知らずに見たほうが引き込まれるのかもしれません。
「あらすじ」を書いた後に書くことじゃないけど(笑)。

見ていくうちに分かるし、最初からぎこちなさが“事故後”かなと予想させるけど、その通りで現金輸送会社に潜入するシーンから始まる。

この会社は大手企業が敬遠する危険な地区の小口現金輸送をメインに取り扱っていたり、現金輸送車は旧型だったりで、数ある現金輸送会社の中でも武装グループの襲撃に遭う頻度が飛び抜けて高い。

それゆえ経営も悪化し、すでにアメリカの大手企業の買収も決定し、従業員はリストラに怯えてやる気も低い。

従業員は勤務中にマリファナ(?)吸ったりしてて、ほんとに酷い勤務態度なのだ。
そりゃ、襲撃もされるだろうよ、ってくらいに油断してるし、他に油を売っている。

主人公のアレックスも始めこそは生真面目だったけど、だんだん感化されていってしまう・・・。

ラリっている時に襲撃されたらどうするんでしょ! 
本来の目的が達成できないじゃない! 
復讐を誓っている男が簡単に誘惑に負けちゃうのは、信念を疑いますよ。

モノローグもなく、回想で“息子の死”も語られるし、主人公に全く感情移入できなかった。
なんか、主人公は一人で苦しんでるんだよね。

トラウマ、後遺症・・・
一人で抱え込んでストイックではあるけれど魅力を感じなかった。

アレックスが泊まっているホテルの従業員イザベラとは、もう少し絡みがあるかと思いましたが、ただの回想への導入に使われただけなのはもったいなかったです。
もうちょっと、絡んできても良かったのに。

最後の最後にきて、ようやくドンパチが始まるけど“目の覚める”ようなシーンでもなかったです。
ラストも“救い”なく終わる。

う~ん、復讐は「パニッシャー」に任せなよ。

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2006年11月 9日 (木)

DEATH NOTE デスノート the Last name

Death_note_the_last_name前編】を観てしまった義理からの鑑賞。

と言いつつも、なんだかんだラストが気になっているのだ。

■あらすじ■

死神リューク(声:中村獅童)が落とした“デスノート”を拾い、野放しになっている凶悪犯を次々と粛清していく天才大学生、夜神月(藤原竜也)。
巷では犯罪者の連続不審死を救世主“キラ”の出現と噂し始める。

一方、一連の“キラ事件”を捜査するためインターポールから送り込まれたもう一人の天才L(松山ケンイチ)がキラを追いつめていく。
やがて月は、“キラ逮捕に協力する”と称して、自ら捜査本部に入り込む。

そんな中、リュークとは別の死神レム(声:池畑慎之介)がキラを崇拝するアイドル“ミサミサ”こと弥海砂(戸田恵梨香)の元に新たなデスノートを落とす。
月は手に入れようとしなかった“死神の目”を手に入れたミサは、第2のキラとなり月に協力を申し出るが・・・。

(2006/日本) ★★★

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映画は前編のラスト、ミサミサがもう1冊のデスノートを拾うところから始まる。
そのまま前後がつながっているから「前編」を観てから鑑賞した方が良いです。

しかし、なんですかね。あれ。
別の死神が出てきたぞぃ。
しかも、なんかしょぼい・・・。

「前編」でもリュークが登場した時は、フィギュアっぽいのっぺりしたしたCGに違和感を覚えたけど、今回、登場した死神レムはそれ以上でした。
どうなんでしょう? 
あれで、よく出来てるのかな?
私は最後まで違和感がぬぐえなかったけど。。。

気になっていたミサミサは割りと活躍してました。
何故、キラを慕っていたのかも判明したし、納得。
でも「彼女にしてください」にはビックリしちゃった(笑)。

キラとL、そしてミサが加わり頭脳戦を繰り広げる。
第2、第3のキラの登場といい、中盤あたりは先の読めない展開が面白かった。

「前編」を見ていたからキャラクターも把握していたし、作品の雰囲気に慣れていた事もあってか、「後編」の方が映画の出来は上のような気がします。
何て言うか、劇画的なことを実写でやってみせる、こそばがゆさみたいなものが減ってた!

前作の“FBI捜査官レイ&ナオミ”みたいな、浮いてる人もいなかったし。

けど、ラストはなんだかなぁ。
少し、気が抜けました。

どんでん返しを狙っているのは判るけど伏線もなにもなく、ただ奇をてらっただけのようにも感じました。
なにより、何が言いたいのかよく判らなかった。

「前編」を見た時に感じた“月ってすっごい悪い奴じゃない?”と言う思いが、「後編」では殆ど感じられなかった。
むしろ、Lを出し抜くことを期待してたりして、“善悪”の基準が曖昧でした。

月の父親、総一郎(鹿賀丈史)が「法律は完全ではない。なぜなら、法律を作った人間が完全ではないから」と言うことを語ってましたが、それがメッセージなのかな?
だとしたら、あのラストで、本当によかったのかな?

死神の気まぐれから全ては始まったけど、死神の気まぐれで全ては終わるのか?

法律が全てではないし完璧でもないけど、「死神のノート」って言う理不尽だけど抗えないものに、人間はどうしたって太刀打ちできないじゃん。
リュークと月のあいだで「退屈になったら殺す」とか、なにか契約があったのなら分かるけどさ。

そう言えばリュークも登場してから殆どと言っていいほど活躍しなかったけど、唯一の行動があのラストかと思うと、やっぱりやり切れない。

盗聴したり、監禁したり、犯罪を裁くためにどこまで許されるのか。
捜査陣の行動も、犯罪スレスレではなく犯罪だし、それを正当化してしまっているのが怖いです。
正義のためなら“なんでもあり”になっちゃっていて、表面的にしか議論してない。
けど、この映画にそこまで求めちゃいけないのでしょうね。

理屈抜きで見るなら、そこそこ楽しめる映画でした。

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2006年11月 7日 (火)

アイドルとデートする方法

Win_a_date_with_tad_hamilton ケイト・ボスワース主演のアイドル映画。

■あらすじ■

片田舎に暮らすロザリー(ケイト・ボスワース)はハリウッドスターの「タッド・ハミルトン」の熱烈ファン。
そんな彼女を見つめる幼なじみのピート(トファー・グレイス)だったが、どうやら彼女の眼中に彼の姿はない。

一方、飲酒運転の事故で非難を受けていたタッド(ジョシュ・デュアメル)と彼のエージェントらは、チャリティを兼ねてファンと1日デートをするというイメージアップ企画を考案する。
この懸賞を見事当てたのがロザリー。

きらびやかなハリウッドに招待されたロザリーは、タッドにエスコートされ、夢のようなひとときを過ごす。
そして再び田舎町に戻ってきたロザリーのもとに、なんとタッドが訪ねてきて・・・。

(2004/アメリカ) ★★

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ケイトの笑顔がさく裂なので、ファンには嬉しい映画かも。
顔がアップになるシーンも多いので、彼女のオッド・アイ(瞳の色が左右で違う)も確認しやすい!

それで、映画はと言うと・・・なんか普通でした。 
普通過ぎました。

展開も王道だし、結末も予想通り。

ロザリーに秘かに想いを寄せる幼なじみの好青年が一人。
ハリウッドスター、タッドに夢中…だけど純粋無垢な乙女が一人。

とても分かりやすいキャラクター設定。
だけど、よく分からない人が一人・・・。

肝心のスター、タッド・ハミルトン。
このキャラクターは掴みにくかったです。 
何を考えているのかよく分からなかったもの(笑)。

飲酒運転、タバコ、女遊び・・・
イメージダウンを回復すべく、1日デート権をチャリティにかけると言うから、さぞかし素顔は“嫌な奴”なのかと思っていました。
それが、ほどほどにナイスガイだったんだよねー。

それで、どうして突然ロザリーに会いに行ってしまうのか・・・。

う~ん、一目惚れしたのなら、まだ理由として納得できるものがあるけど、
よく判らない理由で突然、会いに行っちゃうんだよね。
何がしたいのだ、君は!

一応、ハリウッドの喧騒の中で、自分のことが解からなくなって“自分探し”の旅に出てしまうってことみたいだったけど・・・

それには、迷ったり悩んでいるシーンが足りなかったです。
しかも、次の仕事が決まらないことから焦っているだけだし、それはスランプと言わないのでは?

タッドの行動の動機が弱くて、変にオカシイ映画でした(褒めてません!)。

タッドのエージェント役で「プロデューサーズ」のネイサン・レインが出てました。

オープニングの劇中劇に出てくる、テッドの相手役の看護婦さんは「バタフライ・エフェクト」のエイミー・スマートだったよ。 
エイミーは、この1シーンだけしか出てないけど。

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2006年11月 6日 (月)

手紙

Tegami 心のつながり、血のつながり。

■あらすじ■

川崎のリサイクル工場で働く青年、武島直貴(山田孝之)。
積極的に話しかけてくる食堂の配膳係・由美子(沢尻エリカ)とも打ち解けることなく、人目を避けて生きる彼にはある秘密があった。
兄・剛志(玉山鉄二)は、弟を大学に行かせるため学費欲しさに盗みに入った邸宅で、誤って人を殺してしまったのだ。

無期懲役で服役している剛志からは毎月手紙が届いていた。
しかし、それが元でリサイクル工場でも兄のことが明るみとなると、直貴は工場を後にする。
やがて、大好きなお笑いでプロになる夢を抱き、徐々に頭角を現していく直貴だったが・・・。

(2006年/日本) ★★★

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先月末に原作本を読んだばかりなので、原作のイメージがまだ強く残っているのですが、
由実子役(映画では由美子)に沢尻エリカと言うのは違和感があったので、なるべく原作のイメージを脇に置いて鑑賞しました。

結果だけを言えば、“悪くない”出来でした。
わりと原作に沿った作りになっていたし。←結局、比べてる(笑)

でも、主人公の直貴の追い詰められ方がちょっと弱いかな。
追い込まれる前に、自分から降りちゃうんだもの。

お笑い芸人としてTVに出たことでネットに“兄貴”のことが書かれてしまうあたりは、もっとバッシングにあったりするのかと思いました。
コンビ解消の原因も、マスコミに詮索されそうなものだけど、新人だから追いかけられなかったのかな?

細かいところで気になる部分はあったけど、全体的には及第点。
映画のほうが良かったところもあったし!

例えば、由美子が“手紙”に執着する理由。
原作では一家離散しか分からなくて、少し腑に落ちなかったけど、映画では納得できる理由が付いてました。

それから、平野会長の言葉。
原作を読んだ時は「差別は当然」の文字に衝撃を受け、感動どころじゃなかったけれど、杉浦直樹さんの口から言われると素直に聞くことが出来た。

「差別のない国を探すんじゃない、君はここで生きていくんだ」

なかなか、いいセリフでした。

そして、ラストシーンも映画のほうが良かったです。
原作は、読み終わって心が重くなってしまったんだけど、映画は心を軽くしてくれました。

だけどさ、原作でも映画でも“答え”は出ないんだよね。
“答え”なんてないのかもしれないけど、逃げてもあがいても、立ち向かっても、どうしようもないことに、どうしたらいいのだろう。

血のつながりを絶つなんて、出来ないものね。
絶縁したって、同じ血が流れていることに変わりはないし、
まして生まれながらに“人殺し”の血が流れていることを、子供はどう理解すればいいのか。

不公平を嘆いても仕方ないし、最後には全てを受け入れ歩いてゆくしかないのだろうけど。。。

傍観者として見るにはそれで一段落だけど、当事者や身近にそういう人がいる場合は、もっと苦悩が大きいだろうなぁ。

だから、原作でも映画でも“由美子”の存在は大きかった。
困難な時に支えてくれる人がいること。
それだけで、どれだけ救われるか・・・。

由美子の存在がなかったら、全く違った物語になっていただろうな。

果たして、世の中にどれだけ由美子のように寄り添える人がいるのか分からないけど、
そういう私も、いざと言う時に彼女のように振舞えるだろうかと、考え込んでしまいました。

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2006年11月 4日 (土)

トゥルーへの手紙

A_letter_to_true 写真家が愛犬に宛てた、一本のプライベート・レター。

■あらすじ■

2001年9月11日、世界を揺るがす衝撃的なテロ事件が発生。
ブルース・ウェバー本人は運良く旅先にいたが、彼の自宅兼オフィスは、NYの世界貿易センタービルとは目と鼻の先にあり、そこに残してきた愛犬たちの安否が気にかかる。

この事件以来、すべてが変わってしまった、という彼は、このときの経験をもとに映画を作ることを決意。

ゴールデン・レトリバー4兄弟の末っ子トゥルーへ宛てた手紙を書き綴るという形式を借りながら、犬たちへの尽きせぬ愛情を語ったり、ダーク・ボガード、エリザベス・テイラーらとの思い出深い交友関係を振り返り、未来に対して希望の光を見出そうと試みる。

(2004年/アメリカ) ★★

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この映画の正直な感想を述べるなら、「眠くなる」です。

映像のコラージュと、ジャズ音楽の攻撃に、
それまで必死にアンテナを伸ばしていたものが引っ込んでしまいました。

と言うか、9.11のテロ事件を機に作られたと言うから、さぞかし強いメッセージが込められているのだとばかり思っていたのだ。
これは見当違いでした。

ブルース・ウェバーが愛犬トゥルーに宛てた手紙のつぶやきの内容は、ほとんど覚えてません。
拝聴に値するものだったかも、ちょっと怪しい。

そもそも、これが「映画」なのかどうかも怪しいけど(笑)。

ダーク・ボガードやエリザベス・テイラーとのエピソードも、興味がない私には
「だから何?」くらいのものだったし、今ここで伝えなければいけないことなのか良く分からなかった。

切迫感みたいなものが一切なかったのです。

だから見ているうちに、これは残しておかなきゃいけないと思って作ったのではなく、
残しておきたいお気に入りの映像なのだと思いました。

リビングでくつろぎながらコーヒーを片手に鑑賞する映画なのでしょう。

そんな扱いをブルース・ウェバーが良しとするかは知らないけど、
自身だって愛犬とつくろいで見るために作ったって言っているから、やはりその程度なのだと思う。。。

でも、さすが写真家。
映像のコラージュ・センスは素敵でした。

と言うよりも、犬が戯れている映像だけで心が和む~。

ブルース・ウェバーに飼われている犬たちは幸せだろうなぁ。

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2006年11月 3日 (金)

トンマッコルへようこそ

Welcome_to_dongmakgol あったか美味しい、イノシシ交流。

■あらすじ■

朝鮮戦争が続く1950年代。
戦争とはまるで無縁の平和な村が山奥にあった。
その名は「トンマッコル」。 

“子供のように純粋”という名のその村へ、まるで導かれるようにアメリカ人パイロット、2人の韓国軍兵士、それに敵対する3人の人民軍兵士がやって来る。
顔を合わすなり、銃を持ってにらみ合う両者だが、銃や手榴弾を見たことがない村人たちは呑気なもの。

偶然から村人たちの食料貯蔵庫を爆破してしまった兵士たちは、ひとまず協力して村人たちの畑仕事を手伝うことに・・・。

(2005/韓国) ★★★★☆

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トンマッコルは理想郷。
無いと分かっていても、あるといいな~と思ってしまう。

“戦争”や“憎しみ”とは無縁の村に、ある日、お客がやってくる。

最初にやって来たのはアメリカ人のスミス(スティーブ・テシュラー)。
乗っていた飛行機が不時着して、村人たちに介抱してもらうものの、言葉が通じなくてわめいてばかり。

ケガしたスミスのために薬草を取ってきた先で、村人が連れて帰ってきたのは韓国軍の兵士2人。
ピョ少尉(シン・ハギュン)と、衛生兵のムン・サンサン(ソ・ジェギョン)。
住民たちは2人から、この国で戦争が起こっていることを聞かされて驚く。

そこに、村の少女ヨイル(カン・ヘギョン)が北朝鮮の人民軍3人―――
中隊長リ・スファ(チェン・ジェヨン)と、その部下のチャン・ヨンヒ(イム・ハリョン)、ソ・テッキ(リュ・ドックァン)を連れてくる。

たちまち、にらみ合いになる2人と3人。
そんな兵士たちに挟まれて、呆気にとられる村民たち。

彼らは武器を見たことがないのだ。

争いと無縁の村民たちは、どちらの肩を持つこともしない。
ただただ、冬を越せるだけの食料があれば、それでいいのだ。

動じない村民たちを尻目に、一歩も引くに引けない兵士たち。

国がいがみ合っているとは言え、彼ら自身に憎みあう明確な理由もない。
戦争だから、敵だから、悪い奴だから。
知り合ってみれば、そこにいるのは自分と同じ人間。
敵は己の心が生み出した幻に過ぎない。

けれど、心に凝り固まった確執はなかなか素直に消えたりしない。
でも、そんな心に「トンマッコル」は、良く効く。

ポップコーンの雨、和やかな農作業、みんなで協力してイノシシ退治。

いつの間にか、そこでの日々が愛しいものに変わっている。

しかし楽園を脅かすような出来事が起き、兵士たちは一丸となって立ち向かう決意を固める。
もしかしたら、彼らは初めて自分で守るべきものを決めたのかもしれない。

彼らが守ろうとしたトンマッコルは、理想と言う精神であり、希望なのかも。

同じ民族で戦争をしている悲劇。
そして現在も休戦中なのだと思うと、なんだか切なくなりますね。。。

後半、連合軍がスミス大尉を探しにくるところは「プライベート・ライアン」を思い出してしまいました。 
スミス大尉を救うんだ!

ファンタジックな世界観に久石譲の音楽もマッチしていて、とても良かったです。

イノシシのシーンは忘れられないほどのインパクトでした。
そして、その後の出来事にも思わずにんまりしちゃいます☆

美味しいものを食べると、無条件に笑顔になっちゃうよねっ!

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2006年11月 2日 (木)

父親たちの星条旗

Flags_of_our_fathers ポール・ウォーカーを探せ!

■あらすじ■

太平洋戦争末期。
硫黄島に上陸したアメリカ軍は日本軍の予想以上の抵抗に苦しめられ、戦闘は長引き、いたずらに死傷者を増やす事態に陥っていた。
そんな中、擂鉢山の頂上に星条旗が高らかに翻る。
この瞬間を捉えた1枚の写真が、戦争に疲弊していたアメリカ国民を熱狂させた。

星条旗を掲げる6名の兵士、マイク(バリー・ペッパー)、フランクリン、ハンク(ポール・ウォーカー)、レイニー、アイラ、ドクは一躍アメリカの英雄となるが、
その後、祖国に帰還したのはドク(ライアン・フィリップ)、アイラ(アダム・ビーチ)、レイニー(ジェシー・ブラッドフォード)の3人だけだった。

国民的英雄として熱狂的に迎えられた彼らは、戦費を調達するための戦時国債キャンペーンに駆り出され、アメリカ各地を回るが・・・。

(2006/アメリカ) ★★★☆

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戦況を変える力を持った1枚の写真。
アメリカ人なら誰しもが知っているであろう、その写真を私はこの映画で知りました。

そして、何よりも驚いたのが、あの写真をそっくりそのまま再現した巨大なモニュメントが存在していること。
それは、まさにアメリカ勝利のシンボルでした。

この映画は「硫黄島からの手紙」との2部作として、アメリカと日本の双方から“硫黄島の戦い”を描くと言うのでも話題ですよね。
脚本は「クラッシュ」のポール・ハギス、監督はクリント・イーストウッド
製作としてスティーヴン・スピルバーグも参加しているので、戦闘シーンはかなりリアルでした。

けれど、アメリカ側から描かれた“硫黄島の戦い”と言う匂いはほとんど感じなかった。
確かに戦闘シーンも出てくるし、それは過酷で悲惨な戦いだったけど、この映画を観て“硫黄島の戦い”を知った気になれなかったのです。

戦闘シーンのほとんどが、帰還した兵士達のフラッシュバック(回想)として描かれます。
それは同時に彼らのトラウマでもある。

だから、苦戦していた硫黄島での戦いの、どの時点で擂鉢山を落とし星条旗を掲げたのかや、その後の戦闘の成り行きについては詳しく分からなかった。
戦いぶりについては「硫黄島からの手紙」に期待していればいいのかなー?

タイトルが示すとおり、「父親たちの星条旗」にまつわるエピソードを紐解いてゆく映画。

写真に写った6人のうち、無事に帰還できたのは3人だけ。
そのうちの一人、ドクは息子たちに何も語らずこの世を去ってしまう。
ドクの息子ジェイムズは、生前の父の人生を探し始め、何故、父が何も語ろうとしなかったのかを探り当てる。

そして、アイラとレイニーの人生も知ることになるのだけど・・・。
戦闘の最中にいる時と、神輿に担がれている時と、祭りの後の落差が凄まじい。

好きで写真に写ったわけでもなく、その写真だって たまたま撮られたもの。
真実は隠されたまま、都合のいい事実だけが並べられていく。

何故、自分はこんなところにいるのだろう?
仲間は命を懸けて戦っていると言うのに。
自分は、英雄なんかじゃない。 たまたま写真に撮られただけなのだ。

そうは思っても、状況が許さない。
国民は勝利を信じたいし、政府はお金が必要。

国民的英雄として熱狂的に迎えられ、3人の思いは封殺される。

“英雄(ヒーロー)”なんていない。
それを望む状況が生み出すのだ。

観ていてそんなことを思っていたので、このメッセージには共感しました。
でも、すっごい淡々と描かれてる。

フラッシュバックのカットも多くてビックリしたけど、人物紹介が続いたのにも出ばなをくじかれちゃった。
名前と顔を一致して覚えられなくてさ・・・(;_;)
記憶力が試されてるよっ!!

ドクたちのリーダー的存在マイクにバリー・ペッパーが、
ドクの相棒で、童顔のイギーにジェイミー・ベルが出てたのは分かった!

他にも、ハンク役でポール・ウォーカーが出てたのね。
あんまり出演作も見てないしポール・ウォーカーの顔って覚えられないんだよね。
言い訳?(笑)

最初の方で、ドクが早口に写真のメンバーが違うと指摘するシーンがあるので
要チェックです!

誰が誰だか特定するのが大変でした。。。

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2006年11月 1日 (水)

ウィスキー

Whisky 2004年東京国際映画祭グランプリ&主演女優賞 受賞作

■あらすじ■

ウルグアイの小さな町。
父親から受け継いだ靴下工場を経営するハコボ(アンドレス・パソス)は、毎日、決まり切った1日を送っていた。
そこで働く中年女性マルタ(ミレージャ・パスクアル)も、控えめで生真面目な性格のせいか、ハコボと必要以上の会話を交わしたことがない。

そんなある日、前年に死去した母親の墓を建てるために、ブラジルで同じく靴下工場を営む弟エルマン(ホルへ・ボラーニ)が帰ってくることになった。
ハコボはマルタに、「エルマンが滞在する間、夫婦のふりをして欲しい」と頼むのだが・・・。

(2004/ウルグアイ・アルゼンチン・ドイツ・スペイン) ★★★☆

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「そこで終わるのかっ!」と言う、ラスト。
うわぁ、気になるぅ~!!

マルタがエルマンに渡した手紙の内容は?
ハコボから渡されたお礼をマルタはどう受け取ったかな?
果たして、その後は!?

いろいろ想像をかきたてられ、心引きずられる映画でした。

そもそもこの映画、セリフも多くないし、説明もしてくれないし、登場人物も無愛想。
だけど、そこが魅力。

同じ事を繰り返す、退屈な毎日。
そんな単調な仕事の中で、ハコボとマルタは息もピッタリ。

けれど、ハコボとその弟エルマンは、なんだか訳ありの様子。

そこにきて、マルタはハコボに偽夫婦を演じることを頼まれる。
「事情は存じてます」と、妻役を簡単に引き受けちゃうマルタだけど、一体どんな事情があるのかは教えてくれないのだ。

ハコボの家にある医療器具、ダンボールの山、ぐちゃぐちゃな壁のモチーフ・・・。
観ながらハコボの事情を推測して行く。

タイトルの「ウィスキー」は、写真を撮る時の掛け声。
日本だと、「はい、チーズ!」と言ったところ。

冴えなかったマルタが、「ウィスキー」の掛け声ごとに魅力を増していくのに比べ、ハコボの偏屈ぶりも可笑しい。

知らなかった一面が見えてくることで、魅力が増えることもあれば、
知らなかった一面を見て、幻滅することもある。

果たして、ハコボとマルタはどうだったのかしら・・・?

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