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2006年11月29日 (水)

麦の穂を揺らす風

Wind_that_shakes_the_barley 2006年 カンヌ国際映画祭パルムドール受賞作品。

■あらすじ■

1920年、アイルランド南部の町・コーク。
長きに渡るイギリス支配の下、アイルランドの人々の間に独立を求める機運が高まっていた。

しかし、医者を志す青年デミアン(キリアン・マーフィー)は、ロンドンでの研修がきまりアイルランドを離れることに。

そんな時、仲間がイギリスから送り込まれていた武装警察ブラック・アンド・タンズの暴行を受け、命を落とす。
その後も駅でイギリス軍の暴力を目撃し、ついに兄のテディ(ポードリック・ディレーニー)と共にアイルランド独立を目指す戦いに身を投じていく。

そんな彼らのゲリラ戦に苦しめられたイギリスは停戦を申し入れ、戦いは終結。
イギリスとアイルランドの間で講和条約が締結される。

しかし、完全な独立からは程遠い内容に、条約への評価を巡ってアイルランド人同士の間に賛成派と反対派の対立が生まれ、ついには内戦へと発展してしまう・・・。

(2006/アイルランド・イギリス・ドイツ・イタリア・スペイン) ★★★★

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アイルランド独立へ向けてのゲリラ戦。
そして国を2分しての内戦。
それから、まだ100年も経ってないのだということに、改めて驚かされます。

世界史はちゃんと履修しました(!)が、近代については第一次、第二次世界大戦に触れたくらい?
アイルランド問題については、実のところよく分かっていませんでした。

ようやく、その歴史に触れたのは「マイケル・コリンズ」を観てからです。
この映画は、その歴史を知らないが故に衝撃も大きかったのですが、「マイケル・コリンズ」を観ていたことが、「麦の穂を揺らす風」を鑑賞する上でも大きな助けになりました。

同時代を描いていますが、「マイケル・コリンズ」は歴史を動かした指導者を中心にした、スケールの大きな映画。
「麦の穂を揺らす風」は、歴史に名を残すこともない市井の人から見た戦いを描いてます。

それに「マイケル・コリンズ」では条約締結後、内部分裂して内戦に至る経緯が、分かるような分からないような・・・と言う感じだったのですが、そのあたりは「麦の穂を揺らす風」ではかなり丁寧に議論していたので理解しやすかったです。

どちらの言い分にも一理ある。

条約賛成派は、イギリス軍が撤退したことを評価し、一歩前進したことを死守しようとする。
反対して混乱を招き、またイギリス軍を呼び戻すようなことは何としても避けたい。

けれど、反対派は“アイルランド自由国”として、依然イギリス連邦の自治領に収まることに納得がいかない。
完全独立を目指し、戦いを続けようとする。

志を同じくして戦っていた仲間との衝突。
今度はアイルランド人同士で戦いあう内戦へ向かっていく。

兄と弟、親友、弟分、同志。
一緒に戦ってきた仲間は、身近にいた存在。

絆が強い分、突き放すことは容易ではない。

けれど、自分の信念を貫くために、非情な決断を下す。
それが正義なのかは分からないけど、そこで信念を曲げたら、今までしてきたことを否定することになってしまう。

だから、お互いに譲れない。
それほどに手を血に染めてきたのだ。

感動作?とは違う気がするのですが、あまりに重い歴史に、
今なお、アイルランドが深いトラウマを抱えているのが、うかがえます。

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