ランド・オブ・プレンティ
■あらすじ■
アメリカで生まれ、アフリカとイスラエルで育った少女ラナ(ミシェル・ウィリアムズ)。
母を亡くした後、10年ぶりに故国のアメリカに戻ってきたラナは、母の書き遺した手紙を手渡すべく、長年会っていなかった伯父ポール(ジョン・ディール)を捜す。
やがて彼女は伯父と再会を果たすが、彼は、誇り高き自由の地アメリカを自らの手で守り抜こうと、“ひとり自警団”をもって任じる偏屈な愛国主義者に変わり果てていた。
おりしもポールが、どうも怪しいとにらんで、最近その挙動をひそかに監視していたアラブ人のホームレスが、何者かに殺される事件が発生。
ポールは事件の真相を突き止めるため、そしてラナはその遺体を遺族に届けるため、2人は一緒にアメリカ横断の旅へと出発するが・・・。
(2004/アメリカ・ドイツ) ★★★☆
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巨匠ヴィム・ヴェンダース監督が描いた感動作・・・
と言う触れ込みでしたが、感動はしなかったけど面白かった。
特に目を引くのはポール伯父さんの数々の行動。
2001年 9月11日の同時多発テロ事件を機に、伯父さんはテロリストからアメリカを守ることを決意。
監視カメラをヴァンに乗せ、怪しい人物がいないか警戒にあたる。
しかし、偏屈な愛国主義者のポール伯父さんは、アラブ人を見ては怪しい奴だと決めつけ、アラブ人がダンボールを抱えていてはテロリストだと決め付ける。
人種差別や人権無視、住居侵入の違法行為も、“アメリカ国民の命を守る”大義に比べたら伯父さんの中では許される行為らしい。
少しばかりでなく、度を超えて行き過ぎてしまっているポール伯父さんの行為をどのように理解しながら見ればいいのか分からなかったけど、
突然、“伯父さんは、病んだアメリカそのものだ”という言葉が浮かんできて、その後はその言葉がピッタリ映画にハマってしまい、面白く見てました。
ポール伯父さんが“病んだアメリカ”ならば、ラナは“アメリカの良心”と言ったところ?
信心深く、心優しいラナ。
2人は互いを理解しあう間もなく、別々の目的を持ってトロナへと向かうことになる。
最初はラナがポール伯父さんをどの程度理解し、協力しようとしているのか、はっきりと分からず気ががりを感じました。
案の定、2人の間の溝は大きいことが分かるんだけど、トロナでのポール伯父さんの行動がまた凄くて・・・(笑)。
あそこまで突っ走る伯父さんの姿が、アメリカがイラク戦争に突き進んだ姿に見えてしまって、終いには笑えなくなってしまいました。。。
アメリカを守ろうとする伯父さんの志は立派だけど、手に抱えることの出来ないものを一人で守ろうとしても無理がある。
これからは手に抱えられる範囲で頑張って欲しいです。
もしかしたら、それがラナの存在かもしれない。
しかし、父親は当てにならないというだけで、何故ラナは伯父さんに託されることになるのか、いまひとつ分からなかったです。
ラナは未成年者なのかと思えば、20歳だと言うし・・・。
それでも、ラナはポール(アメリカ)に託された。
ヴィム・ヴェンダース監督はアメリカの可能性を信じているのだと思いました。
音楽も良かった♪
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