« 鉄コン筋クリート | トップページ | リトル・ミス・サンシャイン »

2006年12月26日 (火)

ダーウィンの悪夢

Darwins_nightmare 進化すること。 
発展すること。
何かを失っていくこと。

■あらすじ■

淡水湖では世界第2位の大きさを誇るアフリカのヴィクトリア湖。

かつて、そこでは多様な生物が棲み「ダーウィンの箱庭」と呼ばれるほどの生態系の宝庫だった。

しかし半世紀ほど前に放流された外来魚ナイルパーチが、他の魚を駆逐していき状況は一変した。

湖畔では、ナイルパーチの一大漁業産業が発展。
加工された魚は、毎日のように飛行機でヨーロッパへ運ばれていく。

だがその影で、湖畔に住む人々に悪夢のような影響を与え始める・・・。

(2004/オーストリア・ベルギー・フランス) ★★★★

-----------------------------

観終わると、たはーっと、大きなため息ひとつ、こぼれた。

知らなかった世界の出来事。
しかしそれは、私たちとまるで無関係と言うわけじゃない。

数年前は「白スズキ」という名前で流通していた、白身魚の切り身。
それが「ナイルパーチ」。
今でも、お弁当や給食、レストランなどの外食産業で使用されている魚。

日本は、EUについで2番目のナイルパーチ輸出のお得意様なのだそうだ。

その産地で起きている現実。
食べる時に、食品の産地やそこでの現実に思いを寄せたりはしない。

でも、知るべきだったんじゃないか?
知ってしまった以上、そのことを忘れて無かった事には出来ない。

映画のねらいは、まさにコレなのでしょう。。。

ドキュメンタリーとしては、なんだか雑な印象も受けた前半でした。

ただ、「タンザニア、ヴィクトリア湖」と言う舞台だけを説明されて、
魚肉加工施設や、飛行機のパイロット、夜警の警備員、売春婦、ストリート・チルドレン、漁師…たちのインタビューをブツブツつないでゆく。

それも、各々の結論や主張、鑑賞者の感情の方向性を決定付けないまま、ブツリブツリ切れてしまうのです。
ちょっと、眠くなってしまいました。

しかし、一通り登場人物が紹介され、その地域の現状が判ってくると、再度インタビューの続きが始まる。
つまりは、インタビューが2順するのだ。

本質に迫る後半から、ぐいぐい見入って(聞き入って?)しまいました。
特に、「トラック」が登場してからですね。
すごいです。

加工されて捨てられる魚の“あら”。
それを、ある場所に運んでゆくトラック。

廃棄されるのではなく、これからまた、現地の人たちの“食べ物”として加工されるのだ。
言葉は悪いけど、残飯を食べる。
そんな言葉の印象すらも、はるかに凌駕する映像。
言葉を失います。

そして、弱肉強食のシステムは、弱いものばかりにしわ寄せがきてしまう。

子供たちは、空腹と暴力、恐怖にさらされ、自分の身は自分で守るしかない。
そんな中、眠るために取る子供たちの行動に胸を衝かれます。
そこまでしないといけないなんて。

漁業研究施設の夜警をしているラファエルは、「みんな戦争を望んでいる」という。
みんな? 戦争?
あまりに物騒なことを突然、言い出す。

“みんな”とは言いすぎだろう、とも思う。

けれど、このままヴィクトリア湖の環境破壊が進み、いつかナイルパーチさえもいなくなった時、ここに何が残るのだろう?

あふれる不満。 貧困にあえぐ、路上の人々。
軍に入りたいと、思う人は多いのかもしれない。
兵士になること=食事の確保だから。

そして、ナイルパーチを輸送する飛行機を隠れ蓑にした武器密輸に関する疑惑・・・。

重い、重~い、現実を見せつけられて、洞穴のような映画館から出ると、
そこは、まばゆい光の電飾と、あま~い匂いが漂う世界。

なにかが間違っている!

なにが間違っているのか分からないけど、あまりにも違いすぎる現実に、心が対応できず放心状態に陥った。

闇の中で見つめた現実と、私がこれから生きてく世界のギャップ。
その折り合いを見つけようと鈍い頭を動かしてみる。。。

けれど出てきた答えは、無理して折り合いなんかつけなくていい。

どうしたらいいのか分からないけど、
この先 私は、折に触れ、この映画のことを思い出すことになるのだろう。

|

« 鉄コン筋クリート | トップページ | リトル・ミス・サンシャイン »

Cinema 2006」カテゴリの記事

コメント

突然で申しわけありません。現在2006年の映画ベストテンを選ぶ企画「日本インターネット映画大賞」を開催中です。投票に御参加いただくようよろしくお願いいたします。なお、日本インターネット映画大賞のURLはhttp://www.mirai.ne.jp/~abc/movieawards/kontents/index.htmlです。

投稿: 日本インターネット映画大賞 | 2006年12月30日 (土) 16時13分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/129220/13202423

この記事へのトラックバック一覧です: ダーウィンの悪夢:

« 鉄コン筋クリート | トップページ | リトル・ミス・サンシャイン »