アラビアのロレンス
■あらすじ■
第一次世界大戦が勃発し、アラビアはドイツと手を組むトルコ帝国の圧政下にあった。
1916年、カイロに赴いている英国陸軍のロレンス少尉(ピーター・オトゥール)は、トルコへの反乱に意気込むアラブ民族の現状を確かめるため現地に向かう。
そこで、ロレンスは近代武力の前にアラブ反乱軍の非力を痛感。
アラブ種族をまとめ上げ、ゲリラ戦に打って出ることを、反乱軍の指揮者ファイサル王子(アレック・ギネス)に進言する。
ロレンスは、ハリス族首長アリ(オマー・シャリフ)と、ホウエイタット族首長アウダ(アンソニー・クイン)の協力を得て、トルコ軍の重要地点アカバを攻略することに成功。
その成果をカイロに報告すると、再びゲリラ戦の指揮官として新しい任務を与えられ、アラビアに舞い戻る。
だが次第に、自分が軍上層部に利用されていることを知り、アラブ種族も部族間の対立からロレンスを裏切ってゆく・・・。
(1962→1989/イギリス) ★★★★☆
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1962年(第35回)アカデミー賞7部門受賞。
今回、鑑賞したのは89年に復元されたと言う227分の「完全版」です。
圧倒的なスケールで描かれる映像に、映画館で見るべき作品なのだと強く感じました。
特に、砂漠のシーンが素晴らしいですね!
雄大! 壮大!
そんな言葉じゃ追いつかなくて、人が米粒みたいに ちっちゃい~!
灼熱地獄の砂漠を渡るシーンが、とても好きです。
太陽が昇る前までに渡らないと死ぬと言われ、ただひたすら歩き続ける。
そうしてやっと、抜けたって思ったのに、ためらいも無く引き返すことが出来るロレンスと言う人物。
しぶしぶ、いやいやロレンスに付き合っていたアリも、きっとここでロレンスのことを認めたのだろうと思います。
それなのに、その命懸けの行為を無にするかのような出来事がロレンスを襲い、無力感と罪悪感に苛まれることになってしまう。
これは、アラビアのために一人奔走した実在のイギリス人のお話。
しかし“英雄”と祭り上げられ、その名声を利用され、裏ではアラビアを巡る利権が渦巻いていた。
後半になるほどに、ロレンスの苦悩が浮き彫りにされ、疲弊してゆくのが悲しかったです。
潜入した町で敵軍に捕まり、恥辱を受けたロレンスの人の変わりよう・・・。
それでも、ロレンスに付いてゆくアリの友情。
アメリカの記者から「砂漠のどこに惹かれるのか」と聞かれ、
「清潔さ」
そう答えたロレンス。
それまでの高潔だった印象に、潔癖症、完璧主義者というキーワードが浮かんできました。
乾いた大地を愛し、融合したかったロレンスの願い。
けれど、彼の出自を変える事は出来ず、どんなにアラビア装束を身にまとっても肌は白いまま。
どんなに英雄と担がれ注目を浴びても、どんなに功績を残しても、アラビア人になることは出来ないのだ。
失意のまま砂漠と別れを告げる。
時代背景を知っていると、より映画を楽しめるのかもしれませんが、私のように無知でも案外 平気でした。
ロレンスの心のバランスが徐々に崩れてゆくところに、注目してみてしまいました。
ピーター・オトゥールの演技が素晴らしかったです!
そして、男気を感じさせるオマー・シャリフがめちゃくちゃ格好良かったー!
アレック・ギネスも存在感が際立っていました。
単純なヒーロー物やスペクタクル巨編と違ったアプローチで、“アラビア”と“ロレンス”を描いているのが良いですね!
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