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2007年10月15日 (月)

サルバドールの朝

Salvador 二番煎じではないはずなのに・・・

■あらすじ■

1970年代初頭、フランコ独裁政権下のスペイン。
正義と自由を信じ、世界は変えられると理想に燃えていた青年サルバドール・ブッチ・アンティック(ダニエル・ブリュール)は、仲間たちと反体制運動に身を投じていた。

彼らは、やがて資金調達のため銀行強盗を繰り返すようになり、警察にマークされるように。
そして、ついにサルバドールは逮捕される。

サルバドールの逮捕劇は激しい銃撃戦となり、混乱の中、サルバドールが発砲した銃弾で若い警官1名が命を落とし、サルバドールも負傷する。

一命を取り留めたサルバドールは軍事裁判にかけられ、死刑が確定。
死亡した警官にはサルバドールとは別の銃弾の痕があったが、裁判では弁護側の主張がことごとく退けられたのだった。

減刑を求める家族や世論の声もむなしく、死刑執行の時は刻々と迫っていき・・・。

(2006/スペイン・イギリス) ★★☆

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予備知識としてあったのは、
「白バラの祈り」と似た話?
無実の青年が処刑された話?
くらいで、事前情報を仕入れずに見に行って来ました。

まずは主演がダニエル君だし「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」に似た話でしょって事で、映画の舞台はドイツだと思い込んでいたのですが、スペインが舞台なのですね。
ダニエル君は何ヶ国語を話せるんだろう。

映画は独裁政権に反発する青年が、レジスタンス活動に身を染め、逮捕され処刑されるまでを描いています。

前半のレジスタンス活動部分は逮捕後に弁護士に語る回想として描かれ、死刑が確定して刑務所に入ってからは現在進行形です。

ストーリーが似通っているために、どうしても「白バラの祈り」を思い出してしまいます。

それゆえ、黙秘を続けたゾフィーに比べると、サルバドールは簡単に口を割ってしまう印象をもちました。
弁護士に話しているので、黙秘する理由もないのですが・・・。

しかし、ビラを配って逮捕されたゾフィーに比べると、サルバドールの行動は犯罪色が強すぎて共感しにくいのです。

いわゆる銀行強盗とか、銃とか、危ない橋を渡りすぎ!

見ていてドンドン気持ちが離れていきました。
何が理想なのか、どうしたいのかが伝わってこないし・・・。

それなのに話を聞き終わった弁護士のオリオル(トリスタン・ウヨア)は「無罪を目指そう!」って言い出す・・・。
ええぇ~??無罪かなぁ~?

サルバドールの志は素晴らしかったのかもしれないけど、その行動には賛同できなかったです。

舞台を刑務所に移すと、サルバドールは高圧的な刑務官ヘスス(レオナルド・スバラグリア)に苛められます。
しかし、サルバドールの人となりを知るにつれ、ヘススはサルバドールに抱いていた敵対心を解き、2人でバスケやチェスをするまでに交流を温めるのです。

これも、「白バラの祈り」の尋問官モーアとゾフィーの関係を思い起こすエピソードですよね。

やがて、死刑執行が閣議決定され、12時間以内(たしか)に取り消されなければ死刑執行が行われることになります。
弁護士のヘススは取り消しに奔走するのですが、その時に世論は処刑に反対していると言います。
塀の内側しか見せないので、外と中のギャップがあったなら、そこも描いて欲しかったです。

「白バラの祈り」でも斬首という残酷な処刑方法でしたが、サルバドールも鉄環絞首刑“ガローテ”というかなり残酷な処刑方法でした。
すぐに死ねない分、苦しいと思う。。。

サルバドールの恋人役でクカ(レオノール・ワトリング)とマルガリーダ(イングリッド・ルビオ)が出てきたけど、最後の恋人であるマルガリータは映画の中ではお色気担当の役回りで、別にいなくても良かった気がする・・・。

サルバドールのずさんな裁判方法や時代の流れの中で見せしめとして、暗殺されたブランコ首相の報復の生贄として利用されてしまったことを告発している映画なのに、怒りは感じられず、主張も感じられません。

サルバドールを一人の好青年として描きたかったのは分かるけど、その割りに反体制運動にどっぷり浸かっていたような印象でした・・・。

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コメント

双葉さんはじめまして。トラックバックありがとうございました。私は、最近になってへたな映画の感想文を書き始めましたが、参考にさせていただくためあちこち拝見し、こちらにたどり着きました。表題作品の論評は大絶賛のものが多く、違和感を感じていたので、双葉さんのご意見には、”ハッシ!!”と膝を打ちました(笑) また、おじゃましますのでよろしくお願いいたします。

投稿: 手焼きせんべい処風林堂店長 | 2007年11月 5日 (月) 11時01分

>手焼きせんべい処風林堂店長さん

はじめまして!
こちらこそ、TB&コメントありがとうございます。

細々続けている弱小ブログですが、わざわざお越し頂き嬉しいです。

そうですね。
「サルバドールの朝」は内容が内容なだけに、批判的な意見を言いにくい雰囲気がありますよね。
私もシャンテシネで観たのですが、都内に映画を観に行くと気分が昂揚しちゃうので(笑)、割りと満足して帰ることが多いです。
「サルバドールの朝」も感動する気マンマンで観に行ったんですけどね・・・残念。

無精者ですが、こちらこそ宜しくお願いします。

投稿: 双葉 | 2007年11月 6日 (火) 00時47分

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