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2008年3月 8日 (土)

潜水服は蝶の夢を見る

Diving_bell_and_the_butterfly 記憶と想像力でどこまでも行ける。

■あらすじ■

病院のベッドで昏睡状態から目覚めたジャン=ドミニク・ボビー(マチュー・アマルリック)は、自分の身体がまったく動かず、話すことも出来ないことに気付く。
唯一動かすことができるのは左目だけ。

意識は鮮明なのに身体の自由が利かないジャン=ドーの病状は、“ロックト・イン・シンドローム(閉じ込め症候群)”と呼ばれる非常に珍しいケースだ。

雑誌「ELLE」の編集者として、また3人の子どもの父親として、人生を謳歌していたジャン=ドー。
そんな人生から一転して、絶望にうちひしがれるジャン=ドーだったが、言語療法士アンリエット(マリ=ジョゼ・クローズ)の導きにより、左目のまばたきによって意思を伝える方法を学ぶ。

まるで重い潜水服を着せられたような状態にあっても、残された記憶と想像力によって、彼の体は蝶のように飛び立つ。
やがて、ジャン=ドーは編集者クロード(アンヌ・コンシニ)の助けを借りて、自伝を書き始めることを決意するが・・・。

(2007/フランス・アメリカ) ★★★★

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尊厳死を扱った「海を飛ぶ夢」にも似た空気を感じましたが、意志の疎通が困難なこの映画の主人公の運命も壮絶。

どちらの映画が良い悪いなんて、もちろん言えない訳ですが、
「海を飛ぶ夢」が考えさせられた映画なのに対して、「潜水服は蝶の夢を見る」は人の可能性や希望が感じられる映画で、ジ~ンときました。

ジャン=ドーと同じ身の上になってみないと、彼の気持ちを心底理解するなんてこと出来ない。
映画の中で、彼に唯一共感を寄せるのは、テロリストの人質となって監禁されていたという、極限状態を味わったことのある人物だけ。

だけど映画は、出来るだけジャン=ドーの気持ちが伝わってくるように、彼の視点から私たちもモノが見られるように、配慮されて作られていました。

例えばオープニングは、病室で意識を回復したジャン=ドーの視点がそのままスクリーンに映し出される。
観客は否応なしに、ジャン=ドーと同じ視点から周りを見て、状況を理解する。

首を動かすことが出来ないから、目に映るのは目の前の物事。
医師たちは顔をせり出して話し掛けてきては、画面からプツリと消える。
右眼を縫われてしまうところなんて、ジャン=ドーの絶望感がひしひしと伝わってきました。

ジャン=ドーを演じたマチュー・アマルリックの演技も、素晴らしかったです。

でも、絶望を味わいながらも、家族の大切さに気付いていくドラマチックな映画化と思っていると、
実は見舞いに来る元妻セリーヌ(エマニュエル・セニエ)よりも、見舞いに来ない恋人ジョセフィーヌ(マリナ・ハンズ)を求めていたりして、ちょっと冷ややかな思いを持ってしまったりしました。
だって、「別れよう」って自分で言ってたのに!

なんか、ココだけ妙に現実的で・・・って実話が基なのだから仕方ないけど、どうもキレイゴトを求めてしまいたくなるんでしょうね~。

本当に愛してたから、彼女に想いを伝えたんだろうけど、元妻の立場はツライだろうな・・・。
それに、身長差がありすぎて、彼女さんとはあんまりお似合いじゃなかったんだもの・・・(失礼)。

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Cinema 2008」カテゴリの記事

コメント

双葉さん今晩はご無沙汰でしたがお元気ですか?
ようやく暑さも和らぎ朝晩は涼しくなりましたね待ちに待った
って感じです。
この作品はハリウッド的なさあ泣け!演出がなくじんわりと
描いていて自然と感動した作品です。
ジャン=ドーの強さというのにも脱帽ですね、あんな状態でも
生きることを選びそのための努力をし自分の状況を本にする
そして常にユーモアを忘れずスケベ心も忘れないとてもバイタリティー
溢れる姿が心に残ります。
ただいつも子供と見舞いに来て一生懸命に世話をする妻よりも
愛人を待ち続ける愛人を選ぶ姿には全く共感できないですね
彼女は会いに来る意志がないのに・・・
黒人の同僚など不器用ながらも彼のそばにいて話をするなど
周りの人に支えられて生きる活力にしてるなって思ったよ
そんな彼の最後が肺炎だったのは運命の皮肉なのかな・・・

投稿: せつら | 2008年8月31日 (日) 20時30分

>せつらさん

お久し振りです!
まだ身体は疲れてますが、何とか8月を乗り切りました!
それなのに最近、PCが不調で困ります。。。

この映画は原作が実話であり、本人が執筆したってことがとても大きくて、下手に映画化すると単なる泣かせるだけのお涙頂戴映画になっていたと思います。
ほんと、いい映画になっていて良かったですよね。

ジャン=ドーの絶望感はとても言葉に出来ないけれど、
どんなに絶望の淵に追い込まれても、たった一つの希望があれば人はあれほど強くなれるのだと、感動しました。
それに、彼を支えた言語療法士や編集者、元妻などの女性たちの存在も、とても良かった。

なのに彼女さんのエピソードだけ超現実的でしたね。
彼女を待つジャン=ドーを見るのも悲しかったし、
そんなジャン=ドーに寄り添う元妻も可哀相だったし、
なにより彼女さんに対して非難の目を向けてしまいそうになりました。
彼女にも会いに来れない理由はあったのでしょうが、映画を見た人からずっと非難され続けるのもツライですよね。

最後に本を完成させてから亡くなったのが、せめてもの救いに感じましたが、
素晴らしい作品になったこの映画を彼に見てもらいたかったです。

投稿: 双葉 | 2008年9月 3日 (水) 18時09分

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公式サイトはコチラ 私はこの映画嫌いじゃないけど、感動しない人は1万人以上いるかも→おすぎは映画評論家を続けられるのか!? まぁたしかに健康な頃の主人公・ジャン=ドーは、なかなか身勝手な男だった感じだし、健康を失って初めて気付くものがたくさんあるっていうのも、多分よくあるストーリー。 それが実話で、左目の瞬きだけで意志を伝えてできた本の映画化っていうところが、やっぱり実話ならではの重みがあるんだろうなぁ。 ジャン=ドーうんぬんよりも、周りの人々のあたたかさに感動したかも。... [続きを読む]

受信: 2008年3月23日 (日) 19時50分

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